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[102]ニューZ

2002年7月30日。暑い最中に日産の新しいフェアレディZが発売になりました。初代Zは1969年生れ、そして今回のニューZは5代目。33歳にして心機一転のZです。
初代Zの誕生はセンセーショナルでした。当時はトヨタ2000GTの登場もあり、スポーツカーの人気が出てきた頃で、しかし同時に高嶺の花でもありました。クラウンが120万円の時代ですがトヨタ2000GTは238万円。約倍の価格です。そんなときに日産はフェアレディZを114万円で売り出したのです。クラウンと同じとはいえこの価格は驚きでした。そしてバカ売れしたのです。
といっても2シーターですからそうそう見かけるわけもなく、街中を走れば羨望のまなざしを浴びます。それがフェアレディZを所有する喜びでもあったわけです。じつは1973年頃私は初代Zに乗っていました。しかもオートマチック車です。当時はオートマ普及率は5%未満で、オートマ車はオジサンクルマの代名詞。かなり馬鹿にされたものですが、そこはZ、オートマでも速かったですねぇ。
初代Zはエンジンはスカイラインやセドリックと同じL型6気筒のエンジンを搭載していました。エンジン自体はどうってことはありません。しかし超クイックなステアリングと4輪独立懸架のサスペンションはまさにスポーツカーのそれ。乗用セダンとは次元が違います。意のままに操るファントゥドライブはZが教えてくれました。まさに私の青春とともにあったZです。
Zはその後、2代目、3代目と大きく重たくなっていき、いつしか初心を忘れスポーツカーではなく高速道路をまっすぐ走るのに快適なツーリングカーと変貌していきました。そして究極の4代目は3リッター280馬力を登載した巨大な怪物GTカーとなったのです。しかしこのビッグな4代目Zはデザインは優れていました。4座でもカッコイイZは4代目を置いてありません。
そして5代目ニューZです。これは日産社内でも思い入れの強いクルマであり実際の制作より、初期段階での方向性を決めるのに苦労したといいます。初代オーナーとしてはどんな討論が交わされたか十分想像できます。
スカイラインもそうでしたが、今回のニューZも手放しに喜べる出来ではありません。スカイラインは別のネーミングで出すべきクルマだったし、今回のニューZも豪華すぎる。しかしこの豪華さで300万円という価格は先代のZが400万円もしたクルマということを考えれば、かなりの努力を要したことでしょう。
ニューZよくできたクルマです。しかし売れるでしょうか?新しい2シーターが今の時代にふさわしいのでしょうか?ターゲットが私のような元オーナーのノスタルジックに訴えるなら、初代Zそっくりの復刻版にすべきだったでしょう。そしてノスタルジックはほどほどにし、トヨタホンダに追いつくべく次世代燃料電池車の開発に全力を注ぐべきです。トヨタホンダは日産が追いつけないほど先に進んでいるのです。本気を出して急がねば。

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