前号ではマニュアルミッションについて、その変速比の話をしました。ローギアからトップギアまでの間にたくさんギアの有るクロスレシオの5速+オーバードライブの6速ミッションがホットであるという話です。
ところでクルマにはもう1つギアがあります。エンジンで発生した回転を、6速ミッションで変速し、それを車輪に伝える前に減速する役目を持つデファレンシャルギアです。クルマの下に潜りますと、右と左の駆動輪の中間にぽっこり出っ張った部品があります。これがデファレンシャルギア。通称デフギアともいいます。
このデフギアは、左右駆動輪の内輪差を吸収し、コーナーをスムーズに回わるために役立ちますが、その他に最終的に減速するギアもしたためています。そしてこの最終減速比がクルマの性格を決めることにもなっています。前号の例を引き合いに出します。
車名アルテッツァ(2.0L)フェアレディZ(3.5L)ホンダNSX(3.2L)
1速 3.874 3.794 3.066
2速 2.175 2.324 1.956
3速 1.484 1.624 1.428
4速 1.223 1.271 1.125
5速 1.000 1.000 0.914
6速 0.869 0.794 0.717
最終減速比 4.300 3.538 4.062
トヨタアルテッツァ、日産ニューフェアレディZ、ホンダNSXの変速比データに最終減速比を付け加えてみました。
最終原則比は数字が高いほど「ローギアード」であるといいます。そしてローギアードなクルマはエンジンの回転が上がるため、山道などではホットな走りとなります。逆にハイギアードなクルマは、エンジンの回転が上がらないため、高速道路などをクルージングするのに向いており、また燃費の面でも有利です。
上記の例ではアルテッツァが「ローギアード」であり、ニューZが「ハイギアード」です。つまり山道を攻めるにはアルテッツァが面白く、高速クルージングはニューZが快適というわけです。ホンダNSXはその中間的存在です。ただしNSXには最終減速比がもっとローギアードなタイプRというホットモデルもありますが。
最終減速比は、自分で変える事ができます。サーキット用や山道を攻めたい人はクルマによってそれぞれパーツが販売されていますので、チャレンジしてみるのも面白いでしょう。6速ミッション登載モデルならいろいろ用意されていると思います。ホンダなら無限、日産ならNISMO、トヨタならTRDなどを当たってみてください。費用は工賃が結構高く、材料工賃共で10万円~30万円くらいだと思います。