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[171]レクサスは失敗なのか?

今日は逆輸入ブランドのレクサスのハナシです。気になりますねぇ、レクサス…
レクサスというのは、トヨタの北米向けブランドです。なにやら向こうでは日本とは違う別ブランドでクルマを売るのが流行っていたのですね。トヨタのレクサスに対抗して、ホンダはアキュラ。ニッサンはインフィニティという高級ブランドで展開中。
トヨタがクラウンの上のクラスを開発したとき、そのクルマはセルシオという名前になりましたが、このセルシオは北米ではレクサスブランドで販売し、人気を博しました。レクサスはメルセデスやジャガー、BMWより高い評価を得たのです。人気のレクサスは日本に逆輸入され、おりしも日本は高級車ブーム。左ハンドルのセルシオが誇らしげに走る姿が多く見られました。
一方で輸入車のベンツやBMWは日本市場向けに右ハンドルの高級車を続々投入してきたものこの時期。かくて輸入車は右ハンドル、日本の逆輸入車は左ハンドルという奇妙な光景が日本で見られるようになってきたのです。
北米を制覇したトヨタは何とか日本でもステータスを確保したい。セルシオはそこそこ売れていましたが、やはりその上に君臨するのはメルセデス。これがなんとも気に入らなかったのですね。
そこでトヨタの首脳陣が考えたのが、北米で成功したレクサスを日本で根付かせることでした。ターゲットは富裕層。レクサスの店舗は高級感あふれ、接客する店員も選りすぐりの専門員を配し万全を期しました。
しかし、フタを開けてみれば、レクサスは全く売れていません。まだ結果を論じるのは早すぎるかもしれませんが、そこには明らかに戦略の失敗がありそうです。
まず、一般人は「どれがレクサスなのか」わかりません。レクサスで販売しているのは、大型セダンLS(セルシオ相当)、中型セダンGS(アリスト相当)、小型ダンIS(アルテッツア相当)、SC(ソアラー相当)の4種類です。そもそも、レクサスの売りはブランド力。それはそのものが持つステータス性です。なのにアリストやアルテッツアなど旧車の名前を引当てないとぴんと来ないところなど、まだまだブランドができあがっていない証拠です。ブランドを売りたいのに肝心のブランドができてない。こりゃまずい。
そして価格が高すぎる。高いこと自体は大いに結構です。品質が伴えば。しかし、以前のアルテッツアが220万円くらいの車だったのに、ISは390万円。この差はどこ?実車を評価してみても、高価格に見あう性能は持っていないようです。現代人は目が肥えていますから、ブランド力がなくてもよいか悪いかの判断はできるものです。しかしそういった評価は得られなかった。これがレクサスの一番の失敗原因でしょう。
メルセデスに乗る人は、セルシオのほうが乗って快適なことをわかっていても、メルセデスに乗るのです。またエンジンが調子悪くても、サンルーフから雨漏りをしても、それでもメルセデスに乗るのです。これはもはや恋愛といってもいい。そこにレクサスが割り込むには、ただ単に優等生であるだけではダメで、それにも勝る「何か特別なもの」が必要です。優等生は正妻には最適ですが愛人にはなれません。レクサスの成功は「人の心の問題」にかかっているといって過言ではないでしょう。
今トヨタで一番注目されている車は、ハイブリッドのセルシオだそうです。単なる高級車には興味はないけれど先進技術を評価する姿勢はあるようです。ここにレクサスが恋愛戦争に勝ち抜くヒントがあるように思えます。
◆「レクサス」x「インフィニティ」
レクサス(Lexus)はトヨタ自動車が北米を中心にヨーロッパ、アジア、中東、中南米、アフリカ、オセアニアで展開もしくは予定している高級車ブランド。日本でも2005年より展開し始めたが勢いはイマイチ。現在販売中の車は上記コラム掲載車種のほか、ES(ウィンダム)、LX(ランドクルーザーシグナス)、GX(ランドクルーザープラド)、RX(ハリアー/ハリアーハイブリッド)があります。
インフィニティは日産自動車がアメリカ市場向けに設立した高級ブランド。当初はトヨタ自動車のレクサスや、本田技研工業のアキュラほどの人気は勝ち得ませんでしたがカルロス・ゴーン体制で挽回。現在ではアメリカで最も成長している高級車ブランドの一つとなっています。車種はQ45(シーマ)、M45/35(フーガ)、G35セダン(スカイラインセダン)、G35クーペ(スカイラインクーペ)など。レクサスに続けと日本逆輸入も検討されましたがレクサスの失敗を教訓に保留。日本進出はもう少し待たなければなりません。
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