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第15回■■確定申告で涙

先週、税金を払い込んできた。2000年に株取引で得た利益に対する所得税である。

申告分離課税方式を選んだのだから、あとから支払うのは承知の上ではあるが、それにしても一度懐に入ったものをごそっと持って行かれて、私は悲しくて仕方がない。今回は順番から行くと「11月の戦果」なのだが、折角なので確定申告ネタに変更。

私の住所を管轄する税務署から封筒が届いたのは先週木曜、4月26日のこと。封筒の表に「この中にはあなたにとって重要な書類が入っています」という文字が赤いスタンプで押してあった。

2000年8月から始めた株も、ちまちま3千円、4千円の儲けを積み重ね、年末には35万ちょっとの利益となった。うっかり手が滑って申告分離にしてしまった日産を含め(第13話参照)、全て「あとで確定申告する申告分離課税」を選択してきた。一回の儲けが売却額の2%や3%でしかないものがほとんどで、この程度の儲けで源泉分離課税にして税金を払うと、懐に入るのが数百円になってしまうことがある。取引一件ずつで考えると、申告分離の方が税額が少ないのだ。

というわけで2月には生まれて初めての確定申告をした。ずいぶん早くから「分離課税用」の申告用紙をもらって気合いを入れていたのに、まだいいや、と思って後回しにしている間にずいぶん時間が経ってしまった。結局本格的に書類作成に取りかかり、完成したのは3月14日。確定申告の締め切り日前日である。幾度となく繰り返した夏休みの最終日を懐かしく思い出す。

郷愁にふけっている場合ではない。8月から12月、計5ヶ月間に行った26回の取引明細を一つずつ「株式等にかかる譲渡所得等の金額の計算明細書」(この計算明細書は申告書に添付することになっているのです)に記入して疲労困憊。そこから手数料を差し引いたり手数料にかかる消費税を差し引いたり、なんだかんだで結構時間がかかる。おまけに年末調整し忘れていた海外旅行保険やらなんやらの領収証を発見。少しでも税金を減らすべく、損害保険料控除に記入したりして、もう煩雑きわまりないことこの上なし。正直、もうやめたくなった。

しかしこっちもうんざりならそれをチェックする税務署もうんざりではなかろうか。それともそんなものいちいち細かく見てないんだろうか。どっちにしても、将来申告分離に一本化するらしいが、私が税務署職員なら先頭に立って反対する。

計算の結果申告額は7万1995円。「35万儲けた、わーい」と喜んでいたのもつかの間の幸せだった。

さて、わかりにくい「記入の仕方」を頼りに何とか書き上げた申告書を手に、翌日出勤前に税務署に立ち寄る。いつもは閑散としている税務署も黒山の人だかり。廊下まで待っている人であふれ、職員が対応に追われていた。私は職員の手を煩わせることなく、そっと申告書を提出箱に放り込み、静かにその場を立ち去った。

あとは税金の納付通知書を待つばかりだなーと、それからきれいさっぱり確定申告のことなど忘れていたのだが、そこへ配達されたのが前述のオテガミ。そうだそうだ、やっと来たか・・・と思って開封すると中身は4月25日付の「督促状」。

納付通知書も送ってこないでいきなり督促状とは失礼極まりない、とカッカしながら中身を見てみると、「法定納期限3月15日」と書いてある。ってことは、私が申告書を放り込んできた日にその場で払い込まなければいけなかった、ということ?知らなかった・・・。

追い打ちをかけるように「法定納期限の翌日から完納の日までの期間については延滞税が加算されます」とさらりと書いてある。「この督促に不服がある方は(中略)異議申し立てをすることが出来」るらしいので、延滞税がとんでもなく高かったら「3月15日が納期限なんて全然知らなかったんですっつ!!」と異議申し立てしてやろうと思いつつ計算してみたら、払わなくてもいい額におさまったので異議申し立ては見送った。

翌日すぐに郵便局で振り込んだが、それにしても一度手にしたお金からまとめて税金を払うことがこれほどやるせなく、つらいとは。毎月こっそり給料からひかれていることに比べて、一気にまとめて7万円も持って行かれると、そのダメージは格段に強いものだ。7万円への想いは次号へも続く。

2001.05.04
◆CANE

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