第22回■■ナンピン地獄

2019年5月1日

一回ナンピン買いしたくらいで「地獄」なんて大げさかもしれないが、今日のネタはナンピン買いしても株価が戻らないリアルタイムの話である。

ナンピン買いとはご存じの通り、株価が下がるたびに少しずつ買い足していき、トータルで見て購入単価を下げる方法だ。うまくいけばリスク回避、失敗すると底なし沼。例えば、500円で1000株買い、450円に下がったところでまた1000株買い足すとする。平均購入単価は475円に下がるから、480円まで戻ったところで2000株全部売り払ってもプラス1万円。しかし、これは無事に株価が戻ったときの話。

どうも最近調子がよろしくない私。5月14日、476円で全日空を1000株購入。その後株価下降。6月12日、428円で1000株買い増し。と言うわけで購入単価は1000株あたり452円に下がった。

それは良いのだが、株価の方も下がってしまった。これではナンピン買いの意味がないではないの。このメルマガを書いている今日、6月19日火曜日の全日空終値は408円だった。もしも、もしもなんかの間違いで、このメルマガが配信されるときに全日空が452円を突破していたら、私は皆様に6月いっぱい禁酒を誓ってもよい。おそらく私が禁酒する可能性よりも、株価が400円を切る可能性の方が高いだろうが、もしそうなったら、また1000株買い増してやろうかと思う。しかし、幸か不幸かもう口座に残高がなくなった。

やろうと思えば別の口座からお金を移動させることもできる。ここまできたらもうすこしナンピン買いを続けてやろか、とムキになるけれど、まてまて、こうやって見境なく株にお金をそそぎ込んでいるといつの間にか「株で破産」という憂き目にあうのだと自分に言い聞かせ、思いとどまっている。このあたり、少しは欲を自分でコントロールしているではないかと自分で自分を誉めたくなるが、ある口座から別の口座へお金を動かすのが面倒、というだけの話。

私がナンピン買いをしてみてイヤだなと思ったことは、往生際が悪くなることだ。「もう一回だけ」と諦めきれなくて、ずるずるいってしまいそうになる。資金に上限を作っておかないとホントに怖いと思う。何度も裏切られ続けている浮気性な恋人と、別れよう別れようと思っているところへちょっと優しい言葉をかけられて舞い上がり、「もう一回だけ信じてみるわ」と性懲りもなく同じことを繰り返して痛い目を見る、そんな感じだろうか。

今は全日空に限らず軒並み株価が下げている。何をやってもダメなときもある、しばらく取引から離れて気分転換いたします。来るべき2001年下期の栄光をつかむためにも。

2001.06.22
◆CANE