「川重を寄付きで買って、1円上がったら売る」という自称「1円ルール」を自分に課して1週間。資金は30万円ちょっと。買いと売りの注文が一度に出せるサービスを利用し、翌日のために「寄付きで買い、その約定金額プラス1円で売り」の注文を出してから寝ることを毎晩の日課とした。
月曜日。出勤してまもなく、寄付きで2000株買い注文成立のメールを携帯で受信。ほどなく、前の週に売り残した1000株が売れたメール、それから寄付きで買った2000株が売れたメールが到着。前場が終わる前に1日のノルマ全て達成である。3000円の利益から手数料を引いて、純益は375円。
こうなると1日楽しい。大袈裟でなく、世の中がバラ色に見える。たまたまかかってきたクレーム電話にも楽しく付き合った挙句、丁寧な挨拶で1時間の会話を締めくくり、しずしずと受話器を置いたものだから、同僚が「今日はどうしたの??」と驚いていた(いつもの私はクレーム電話の後は受話器が壊れんばかりに電話に叩き付けて憂さを晴らす)。株で儲かれば私も私の周りも心穏やかに暮らせるのだ。たとえ数百円の利益でも。
バラ色のまま昼が過ぎ、午後の眠い時間も上機嫌で過ごしていたのだが、「3000円儲けても手数料と税で2625円も取られてしまうのはつまらん」、と思い始めるとバラ色が少し色あせてくる。資金が30万しかないのだから仕方ないのだが、今のままでは儲けの9割近くが手数料で消え、あまりにも馬鹿馬鹿しい。
欲の固まりとなった私は即座に、証券会社にある中国ファンドを50万円解約し、株資金にするよう手配した。これで80万ちょっとが株に回せる準備が整った。
追加資金投入後の火曜日、水曜日、ことは全て順調に運んだ。今までの倍の6000株をルールに従って売買。純益は6500円。私の追加資金投入は正しかった、と思うと世の中はバラ色どころではない、チューリップとサクラとひまわりが一気に咲いたように鮮やかにキラキラして見える。
木曜日。長い1日だった。買い約定のメールを受信して以来、携帯はリンとも鳴らない。私は午後2時40分までメールを待ったが、諦めた。「1日で売り払う」というルールのもと、引けで売るよう注文の出しなおし。よりによって、注文株数を1000株増やして7000株にした直後である。売値は買値より2円安く、手数料とあわせると16,625円のマイナス。当然、前日までの儲けは一気に吹っ飛び赤字に転落。その夜はさすがに、「もう明日は注文出さないでおこうか」などとと迷ったが、なんだか惰性で注文出してしまう。しかも、逆転できるかもという意地汚い心を抑えることができず6000株。
金曜日もまた、朝一番に買約定のメールが来て以来、待てど暮らせど売約定のメール届かず。うー今日もダメかー!!と荒れ気味になる私の顔色を、隣の同僚がそっとうかがっている気配が感じられる。昔、巨人が負けた翌日はハチャメチャに機嫌が悪くなる猛烈巨人ファンの上司がいて閉口したものだが、今の私はまるでその巨人ファンのよう。こんな奴の隣に座りたくないだろうなぁ。ゴメンネ同僚。
金曜の午後は携帯の充電が切れ、引けで売る注文も出せず翌週に持ち越しというおまけまでついた。週明けには寄り付きで売ってしまい、果敢に次の勝負に出るか、それともしばらくこのままじっとしておこうか、悩んでいる。
■■口座状況■■
◎保有株
(銘柄コード・銘柄・保有株数・平均取得単価・直近の終値)
9202全日空・3000株・406円・237円
7012川 重・6000株・104円・102円
◎今週の損益
△ 12,750円
◎余剰資金
834,631円(週中で50万円資金を追加)
2003.02.13
◆CANE