前々回と前回の号で「株の勝率はせいぜい6割程度」「正しいトレードをしても5連敗することもある」ことを紹介しました。だとするなら、1回の利益確定で「正しいトレードだった」1回の損切で「間違ったトレード」と評価はできないことになります。ですが、1回のトレードで明らかに「間違っているトレード」と思える場合があります。
例えば、100円で買った株が80円まで下がったとします。その含み損は「-20円(-20%)」です。でも損切りせずに耐えたら株価が反転して80円から102円まで上昇したとします。その「102円」で利益確定したとしたら・・・・100円で買った株を102円で売ったので「2円(+2%)」の利益です。このトレードは正しいトレードでしょうか?間違ったトレードでしょうか?
もちろんトレードにはいろんな要因があります。一概には言えません。ですが、「-20%(-20円)」の含み損を耐えて「+2%(-2円)」で利益確定するトレードは正しいとは言えません。確かに「-20%」の含み損がプラスになったらさぞかし嬉しいでしょう。ですが、その「嬉しさ」が投資家の頭に「間違った考え」を植えつけます。「-20%の含み損を耐えたら利益確定のいい思いができた。損切りするよりも含み損は耐えたほうがいい」と。
過去に「含み損を耐えて利益になった」事実は、損切りを遅らせます。遅らせるどころか「損切」の選択肢そのものを投資家は放棄するようになります。別に「-20%」の含み損を耐えてもかまいません。だったら利益は「+20%以上」を目指すべきです。そういう姿勢でないとトータルではまずプラスにできません。
子供、学生、後輩、部下・・・そういう呼ばれ方をする人達は間違ったら目上の人が指摘してくれます。しかし「株」は間違ったことしても誰も指摘してくれません。自分で何とかするしかないのです。
関よしお