刑事責任を問えるかどうかは犯罪者に刑事責任能力があるかどうかによる。つまり刑事事件を起こしても責任能力がないと判断された場合は犯罪者とはならない。これが今の日本の法律である。
たとえば殺人を犯す。検察は調査し容疑者に刑事責任能力があるかどうかを見極める。その結果、精神障害などで責任能力が完全に失われている場合(心神喪失)は犯罪を犯しても処罰対象とはならない。また責任能力が著しく減退している場合(心神耗弱)は、刑が軽減される。
容疑者が14歳未満の時は有無を言わさず能力はないと判断される。要するに子供だからだ。これに加え現時点では16歳未満は同じく刑事責任を問えないことになっている。これは手続き上でそうなっており、実質年齢を引き上げる効果を狙ったものだといわれている。つまり要約すると、常人の犯罪者のみ処罰することができ、異常者は処罰の対象にならないということ。
しかしね、よく考えるとおかしい。窃盗などは出来心ということもあるだろうが、殺人などは間違いなく異常な行為。殺人を犯すこと自体異常なのだ。にもかかわらず法律は「正常な犯罪者」であることを処罰の条件としている。正常だろうと異常だろうと、殺人を犯したものを世間に野放しにすることは社会通念上許されることではない。
ちなみに宮崎勤被告は異常が素行に異常が認められたが、犯行時は正常とされ死刑判決を受けた。判例は異常を認めつつも責任能力を問えると判断する場合が多いようだ。しかし、法の運用って難しい・・・
【関連記事】
[982]犯罪は環境で起こる