聴覚の不自由な人を聴覚障害者(ろう者)といいます。聴覚が健常な人を健聴者といいます。健聴者は言葉を発することでコミュニケーションを図ってきましたが、聴覚障害者の場合は言葉を発することが難しい。発せないわけではないのですが、言葉というのは、聴覚で確かめながら発するので、確かめるすべのない聴覚障害者は必然言葉が苦手になります。
そこで聴覚障害者が長年の逆境に耐え開発してしてきたのが手話です。健聴者が言葉を発するのはなんら不思議でないように、聴覚障害者が行う手話も発生学的に見ればなんら不思議ではないのです。ちなみにろう唖者というのは聴覚障害と言語障害がある人のことを言いますが、言語障害は聴覚障害に起因している場合が多いです。
手話は話し言葉を反映しますから日本人は日本語の手話を使います。同様にアメリカ人は英語の手話を使います。話し言葉より手話の方が察しの要素があるらしく、日本語と英語ではほとんどコミュニケーションは無理ですが、手話だと相手を察することができるので、言語を超えて手話の方が初対面でも通じてしまうのが興味深い。
しかし一方では問題も抱えています。話し言葉と違って、察しの要素が多いため統一性にかけることです。その為手話の種類が止めど無く増えてしまう可能性があることです。そうならないように、早めにある程度のルールを作り手話文化を育てていく運動が必要だと思います。
手話は聴覚障害者とコミュニケーションをはかるために、欠かすことができない大切なものです。障害者福祉の高まりの中で、障害者の方も積極的に社会に出ていくようになり、健聴者との交流も多くなってきました。最近では、健聴者でも手話を学ぶ人が増え、言葉の障害を越えて活躍する人が増えているようです。