鼈甲は「べっこう」と読みます。鼈甲細工の歴史は大変古く正倉院宝物の中に杖や琵琶の一部分に タイマイの甲羅が使われていたりします。また江戸時代の頃には工芸品としても盛んに作られていました。
昔から金襴緞子の花嫁に欠かせないのが鼈甲のかんざしです。鼈甲のかんざしは今では幻といえるもので、本物は数百万円もします。一般庶民には手が出るものではありませんね。
それというのも、鼈甲の材料となるタイマイというウミガメがワシントン条約で輸入が禁じられているためです。なかでもキューバ産のタイマイの甲羅が最高なのだそうですが、もはや手に入りません。現在作られている鼈甲細工の材料は養殖物か条約以前に輸入されたものを小出しに使っているのだそうです。
タイマイの甲羅はどんなに大きくなっても13枚だそうでしかもとても薄い。その甲羅を一枚一枚はがして、飴色の部分と黒い部分をうまく重ね合わせ接着して材料とします。
接着といっても特別に接着剤を使うのではなく、鼈甲自体の膠部分の接着力を利用します。鼈甲を湿らせ、それを加熱加圧することで強力に接着します。あとは加工してひたすら磨きます。
昭和30年までは鼈甲に似せたセルロイドのめがねの蔓や櫛などの製品が流行りました。しかしセルロイドは燃えやすいので、そのために命を落とした人がいたようです。その後はプラスチック製のニセモノが大手を振っているのが現状です。
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