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[346]木酢液と森林浴

森を歩きますと心が落ち着きます。これは私たち人間が長い間森で暮らしてきたという証でもあります。森の空気には大量のフィトンチッドが含まれています。フィトンチッドは木自身が持つ揮発成分です。

フィトンチッドには抗菌作用があります。これは害虫や病原菌から自分を守るために木自身が発生するものです。

懐かしい焚き火の匂いがする木酢液は、炭を焼く過程で生成されますが、これは木を加熱はじめたときに出てくる揮発成分を冷まして液体にしたものです。これには大量のフィトンチッドが含まれています。つまり木酢液を入浴剤として使えば、家庭でも簡単に森林浴が楽しめるということです。

木酢液にはこれらの揮発成分のほか木材のセルロースが分解してできたフラン類や酢酸が含まれています。特に酢酸が強いので木酢液と呼ばれるようになりました。その他にもフェノールや脂肪酸、木タールなども含まれています。下痢や食アタリに効く正露丸はこの木タールを精製して作られたものです。

木酢液は農業にも活用されており、多く使えば植物の抑制に、少なく使えば成長に効き、また土壌の改良や防腐にも使われています。環境を汚染することが無いので、農薬に代わる素材として注目されています。

木酢液には「木の不思議」がいっぱい詰まっているようで、その効能についてすべてが解明されているわけではありません。しかし今後目の離せない素材であることには間違いないようです。

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