先日テレビを見ていたら、千昌夫が歌を歌っていました。ああ、お元気で何より・・・
星影のワルツで一世を風靡した千昌夫経営のする不動産賃貸・売買、興行会社の「アベインターナショナルベンチャーズコーポレーション」(本社・東京都渋谷区、資本金1億2800万円)が、バブル崩壊の後遺症による業績低迷から事業継続を断念し、東京地裁に特別清算の申請をしたのが2000年の2月4日。負債総額は1034億円でした。
千昌夫といえば昭和生まれの人たちにとってアメリカンドリームならぬジャパニーズドリームの成功者だっただけに残念至極だった記憶があります。こんなところで盛者必衰の理をみることになるとは。
さて倒産とはなんでしょう?
モノを買ったときその支払いは現金が原則ですが、現金を使わずに手形や小切手で決済する方法があります。手形には期日の約束があり、その期日に決済されれば現金と同じように支払いが行なわれます。順当に決済されれば現金が動く事もなくスムースな経済流通に貢献するシステムです。約束手形といわれる所以でもあります。
しかし、手形を振ったにもかかわらず、その期日に決済できないときがあります。決済に売掛金の入金を予定していたけど、そのアテが外れた時などです。
こういう時は、銀行から資金を借りたり、手形を振った相手に差し戻しを頼んで期日を延ばしたりしますが、元々信用取引きであるから約束のしなおしというのはそうそう受け入れられものでもありません。経営状態が悪くなってくると、ついに資金が間に合わなくて手形を落とせなくなる事態となります。これが「不渡り」です。
不渡りを2回出すと銀行は取引を停止します。そうなると、今までの信用はないものとされ、債務などは一括で返済しなければなりません。これを期限の利益を失うといいます。これが「倒産」です。
倒産しても、固定資産が潤沢にあり、ただ単に現金だけがなくて倒産することがあります。この場合は会社全体は黒字なので、黒字倒産といいます。黒字倒産は資金さえあれば存続可能であるからこういう時は、会社更生法の適用を受ければ再建することができる。
債務が多く再建のめどが全く立たない場合は会社更生法を申請せず、そのまま清算へと向かう。いわゆる破産です。2000年の「アベ社」や「山一証券」の清算がこれにあたります。
清算は持てる資産を現金化して、債務者の債務状況応じて按分するわけですが、債務者からすれば当然元は取れません。したがって争議になる場合が想定されるので、こういうときは間に精算人が入って慎重に分配作業を行ないます。千昌夫事件については、負債が大きく重大な事件なので裁判所が精算人となり、特別清算という形をとることになったのです。
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