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[518]チューリップ

小学校や幼稚園の春の花壇に欠かせないのがチューリップ。パンジーが咲く頃はまだ薄ら寒かったりする時期ですが、チューリップは春本番の暖かいイメージがあります。

チューリップといえばオランダを想像しますが、原産は地中海東部沿岸から中央アジアにかけて分布しているユリ科の植物です。赤いチューリップの花言葉は愛の告白。清楚なその姿は、花は王冠、葉は剣、球根は黄金、蕾は純潔にたとえられますが、そこにはこんな伝説があります。

その昔、可憐で美しい少女が三人の騎士にプロポーズされ、それぞれ騎士たちは家宝の王冠、剣、黄金を少女に贈りました。誰一人断わることができない少女は苦悩の末、花の女神フローラに「私を一輪の花に変えてください」と頼みます。女神その苦悩から救うため、少女をチューリップの花に変えたということです。

さて、そんないわれのあるチューリップで埋め尽くされる花壇。そんな贅沢を味わってみたい人は今から準備しなければなりません。春になってからでは遅いのですよ。9~10月頃から園芸店やホームセンターに秋植えの球根が並ぶようになります。球根は出始めに買っておきましょう。出始めはまだ大きい粒のものがあるからです。もちろん同じ値段なら大きいもののほうがよろしい。大きい球根にはすでにはちゃんとした花芽が用意されているからです。

チューリップの球根には裏表があります。扁平してる側がお腹で、ふっくらしてる側が背中。ですからこの半月状の向きをそろえて植えれば葉の向きが揃い、開花した時に葉っぱ同士が揃い綺麗に並びます。

球根を買うときは、病害虫に侵されていないもの、発根部が傷んでいないもの、表面がツヤがあり手にとってズッシリしていて中身が詰まっているものを選びます。発根部がぐぐっと盛り上がっているものがよいとされます。芽や根が出てしまった球根は避けましょう。

植付けの時期は10月下旬~12月下旬まで。地温が高い時に植え付けると腐敗することがあるので、十分涼しくなって最低気温が15℃を下回るようになったら植付けます。球根を買うのは早め、植えるのは遅め、と覚えておいて下さい。ただし12月中には植付け完了しておきます。冬の寒さにあたらないとよく育ちません。植付け場所は日当たりがよく、水はけの良い場所を選びます。

チューリップの親球は1年で全く消耗してしまい、そのかわり数個の子球を作ります。これを球根の更新といいますが、更新をする場合は、花が終わったあとの球根を充実させなければなりません。種ができないように、また球根にできるだけ養分を送り込むため、花がらは早めに摘み取ります。より沢山光合成をして球根に栄養が行くように葉っぱは残しておきます。このとき水を切らさないようにし、肥料も少し与えます。

葉の上部2/3程が黄色く枯れてきたら掘り上げます。チューリップは夏の暑さに弱いのでそのままにしておくと腐ってしまうことがあるからです。遅くとも梅雨に入る前までには掘り上げましょう。

チューリップは現在300種類くらいあるようですが、赤系のものは植えっぱなしでも毎年咲いてくれます。変わり咲きのものや白系、紫系のものはなかなか翌年は咲いてくれません。毎年咲かせるのではなく、一年限りと割り切ってぎっしり群植するのが最高の贅沢かな、と思います。

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