「いい加減けりをつけたら?あの男」
これは「もうあの男と付き合うのいい加減にやめたら?」という意味の「けり」の使い方。
けりがつく、けりをつける、という言い方は、物事の結末や決着を意味するものです。この「けり」はもちろん「蹴り」ではありません。和歌などに多く使われる助動詞の「けり」のことで、古語体の文章の末尾にこの「けり」が多く用いられたので「けりがつく」を「決着」とする言い回しができたのです。
短歌・和歌に使う「けり」は、動詞の後につける助動詞としての役割があり、それほど深い意味はありません。過去形の詠嘆詞として「だったよなー」とか「だった」とか「だったとさ」という風に淡々とその状況を詠む時に使います。
「花の色は移りにけりないたづらに我が身世にふるながめせし間に」(小野小町)
この歌は、花の色が褪せてしまったように、私も長雨に打たれどんどん褪せてしまう、といった儚さを詠んだものとされますが、さて小野小町の心中はいかに?本当のところは本人しかわかりませんよね。
儚さといえばこれ。「地ビールの泡(バブル)やさしき秋の夜ひゃくねんたったらだあれもいない」(俵万智)
100年後は今生きている我々は誰も生きちゃいない。けれど、きっと私たちの子孫が健気に生きていることでしょう。
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