丸ビルとは東京駅駅前の丸の内ビルヂングのことです。今から112年前の1890年(明治23年)、まだビル建築が珍しいころ、国から丸の内一帯を譲り受けた三菱合資会社(今の三菱商事の前身)が近代的なオフィス街を目指して建設したビジネスセンター。その中でも中核をなすのが1923年竣工の丸ビルです。
地上9階建て高さ約31mの米国式大規模オフィスビルの典型である丸ビルは、竣工以来その後の構築物の大きさを測る尺度として多く比較されました。大きな建物ができれば「丸ビル何個分の大きさ」とか、大きな客船やタンカーができればまたまた「丸ビル何個分の容積」などといわれたものです。
では丸ビルの大きさを世間の人々が知っていたかというと、数字まで言える人はあまりいなかったでしょう。知っていたのはとにかく大きいということ、そしてその大きいビルを入れ物として比較されるようなものは更に大きいという感覚論であったと思います。今でいえば東京ドーム何個分というようなものでしょうか。
その後霞が関ビルや東京タワーの建設によって、比較されることが段々少なくなりましたが、容積だけは超一流で長らく「大きな測リ枡」として君臨してきました。
その丸ビルが老朽化のために解体されたのが1997年。その跡地に新しい丸ビルの建築が始まっていました。新しい丸ビルは高さ180m延べ床面積約16万平方メートル、地上37階・地下4階、総事業費650億円で、この2002年9月6日にグランドオープンをしました。
特に高いわけでもなく、大きさもそこそこですが飛び切り大きいわけでもない。しかし、東京駅のまん前というロケーションとその風格は大人のオフィスビルの第一人者といっていいでしょう。
グランドオープンから約10日たった9月15日に新しい丸ビルを訪れてみました。初めての連休を迎えた丸ビルは見物客でごった返していました。特に前評判の高いレストランは当日は予約で満席状態。決して安くないレストラン街ですが、日本に始めての出店である世界の一流店もあり、その人気の高さに感心してしまいます。オープン間もない為、まだまだ混んでいるので、もう少し落ち着いたら訪れてみるのもいいかと思います。
ちなみに日本で現在一番高いビルは横浜のランドマークタワーですが、この所有者は三菱地所。丸の内一帯の地主も三菱地所。三菱地所は日本で一番高い地価の土地を持つ最強の地主といっていいでしょう。