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[691]自首

罪を犯し逃亡し時効の成立を待つ。考えてみたらこれは凄いことであります。並みの神経ではできないでしょう。通常なら罪の重圧に耐えかねて自首をするはずです。

ところで、自首をすると罪が軽くなると思われていますが厳密にはそうともいえない部分があります。刑法では自首についてこう定めています。

「罪を犯し未だ官に発覚せざる前に自首したる者は、その刑を軽減することを得」(刑法第四十二条一項)

これはどういうことをいっているのかというと、罪を犯したけどまだ警察に見つかっていない時は自首をするとその罪が軽くなるという意味です。つまり発覚していないことが条件。

夫婦喧嘩が昂じてつい妻を殺してしまった。事の重大さに気がついて警察に通報し自分がやったと自首した。こういう場合は、刑は軽減される余地があるというわけです。

一方、妻を殺してしまったが、死体を山中に埋めて知らん顔。不信に思った親族が警察に捜査を依頼。被害者の夫を容疑者として全国に指名手配。状況に慌てた被害者の夫が自首した。

このように事件が発覚して指名手配されているような時は、自首しても刑は軽減されません。

ただし、実際は逃げ回った挙句につかまるより、自ら進んで自首したほうが裁判での心証はいいとはいえます。酌量減軽つまり情状酌量の余地があるからです。

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