有機農法が注目されています。オーガニックと横文字で言われるとなぜかすごく体に良いような気がします。
有機農法といっても、これは太古の昔から自然の植物は有機農法?で育っていたし、人間はそのおかげで食料を確保してきたのです。いってみれば自然はもともと有機農法。有機農法とはその後に化学肥料が発明されたことの反動といえるものです。
植物が生長するのに必要な成分は無機物です。無機物は、落ち葉や動物の死骸、フンなどを分解する微生物が作ってくれます。微生物は有機物を食べて無機物に分解するのです。分解された無機物は、水分や空気ともに植物に吸収され、植物は生長するというわけです。
最初は植物は有機物をそのまま吸収すると思われていました。有機物を堆肥として土に混ぜると植物は生長するのでそう思っても当然でしょう。ところが、ドイツの科学者リービッヒは植物の栄養はすべて無機物で吸収されることを発見しました。この発見は、後に化学肥料を生み出すことになります。
土に直接無機物を補給する化学肥料は即効性があり、農業革命が起こったとまで言われますが、化学肥料を使いつづけていると、どうも作物が病気や虫の被害に遭うようになり、よく育たなくなることに気づきます。そこで病気にならないように農薬が開発されました。虫を駆除するのに殺虫剤が作られ畑にまかれました。しかし事態は一向によくなりません。
そこでよく調べてみると、有機物を無機物に変える微生物が、植物の生長に大きな役割を演じていることがわかってきたのです。植物には、無機物だけでなく、虫やミミズが作る空気穴や団粒構造が不可欠だったというわけです。有機物を無機物に変えるプロセスを科学する。これが有機農法なのです。