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[763]放射能

1999年9月30日、東海村で起きたJCOの事故も年月の経過とともに過去のものとして風化してきたようです。これではいけないということで戒めのため事故現場を残存させる動きがある一方で、証拠隠滅のため解体撤去する意図も一部あったりして、いまだ水面下での攻防が続いているようです。

JCO東海事業所の転換試験棟でおきた事故は、ウランが核分裂を続けて中性子線などを出す「臨界」状態が続いたもの。働いていた作業員2人が死亡しそれを含む666人が被ばくした事故で、原子力事故の国際評価尺度で測った場合、国内では過去最悪のレベル4と認定された事故です。

さて、原子力事故で出てくる言葉に「放射能」「放射性物質」「放射線」と色々ありますが、この言葉は似ているけれど意味はそれぞれ違うのです。

「放射性物質」と言うのは、ある一定の条件を与えると、中性子線やガンマ線などの電波のようなものを放射する物質を言います。自らの成分を放射してより安定した物質になろうとします。

放射された中性子線やガンマ線は「放射線」と言います。これは人体の細胞に重大な影響を与える事が多いです。

「放射能」と言うのは、放射線を出す事のできる能力をいいます。

プルトニウムは「放射線」を出す事ができる「放射能」があるので「放射性物質」である。とこのようないい方をします。

東海村の事故では沈殿槽で臨界が起き、大量の放射線が発射されました。それを浴びた作業員は被ばく、排気された気体の中に放射性物質が混ざりました。これは空気中に浮遊し、放射線を撒き散らします。だから、室内待機して外に出ないように、また窓を明けたり換気をしないような勧告が出たのです。幸い排気口からの放射性物質は微量で、農作物や家畜、人体への影響はほとんどなかったのが不幸中の幸いです。

ちなみによく見かける「御影石」。玄関や花壇の縁石、エクステリアの装飾に使われるおなじみの石ですが、この御影石には放射能があります。といっても心配は無用。発する放射線は人体には影響の無いほど微量ですから。学生さんは放射線の実験でよく御影石を使うと思います。

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