この法律は、日本固有の生態系を守るためや、農業、人体の生命や健康などに被害を及ぼすおそれのある外来種を「特定外来生物」に指定し、国の許可なく輸入や移動、飼育、栽培などをすることを禁止する法律です。2004年6月2日に制定され2005年4月から施行されます。
特定外来生物とは、人の管理下から放たれた場合に
・生態系に影響を及ぼす
・人に害を与える
・農林水産業に被害を与える
とされる外来生物です。外来種はたくさんありますが、その中でどれを「特定外来生物」とするかで色々な意見があるようです。そしてこのたび釣りファンにとっては欠かせないファイトフィッシュ「ブラックバス(オオクチバス)」がこの特定外来生物に指定されそうなのです。
この法律は結構厳しく、禁止事項として「飼養・輸入・譲渡・遺棄」が指定されています。つまり許可が無ければ飼うことも出来なくなるのです。当然、ブラックバス釣りを専門に行なっている業者には試練となるでしょうし、家庭で飼うことが許されるはずがありません。
ブラックバスが在来の生態系や養殖業者に被害をもたらすのはずいぶん前から分かっていること。しかし人智を集めてブラックバスと共存(食用にする、釣り対象にするなど)することができるようになったところに、こんな法律が出来てしまったら、今まで共存共栄に努力してきた人たちにとってこれほど辛いことは無いといえましょう。
ちなみにこの法律に違反した場合、法人には最高で1億円の罰金、個人には3年以下の懲役か300万円以下の罰金が科せられることになります。被害の大きさを考えればやむをえない所だと思いますが、もう少し調整期間を置いてもいいような気がします。
種の拡散と多様性を求める真理は宇宙が出来たときから仕組まれている法則です。その法則からすれば、どんなルートであれいずれ強い外来種が訪れるのは自然の法則。それがたとえ心無い無知な人間の手によってもです。そうやって入ってきた外来種を、在来種(人間も含む)の都合だけで排除したり養殖したりするのは、はなはだ自分勝手な行動ではないかと思うのです。
地球温暖化についても何度か述べていますが、温暖化で都合悪くなるのは人間だけです。温暖化が進み人類が絶滅したときには、次なる生物(多分ゴキブリ)が席巻しているはず。その生物からすれば温暖化を阻止する人類は早くいなくなって欲しい存在といえるかもしれません。
在来生物や私たちの生活に見すごせない影響を与えるからといって、外来種を生息する現場から簡単に排除してしまう。排除された生物の取扱いや排除そのものの是非をめぐって、立場の違いによる人間側の対立もしばしば生じます。こういった外来生物をめぐる問題は、私たちと自然とのかかわりかたを、今一度考え直す良いチャンスではないでしょうか。
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