「氷山の一角」という言葉があります。氷山の見えている部分は、全体から見るとほんの一部で、水面下にはものすごい大きな氷の塊があるんだということ。たとえば「●○県警や▲△議員の不祥事は氷山の一角だ」みたいな使い方をします。物事は一部分だけでなく全体を把握しないと、船は安全に航海することができません。ちなみにタイタニック号は氷山と衝突して沈没しました。1912年4月14日のことです。
氷山とは氷河または棚氷から海に流れ出した大きな氷の塊。陸上で時間をかけて形成され、海水が凍ったものではないため、頑強で大きいのが特徴です。氷の密度は920 kg/m3、海水の密度は1025kg/m3であることから、氷山の90%は水面下にあることになります。そして氷山は真水が凍ったものであるため海水との比重の関係で実際には80%ほどが水面下にあることになります。氷山は個別に名前が付けられ、船舶事故の無いように一つ一つ監視されています。氷山の寿命は十数年と推定されています。
氷山は南極周辺、北極周辺の高緯度の海に見られます。南極の氷山と北極の氷山はその形成が異なるため、形状も南極周辺では平らなものが多く、北極周辺ではとがった山型の形状のものが多いとされます。これは南極では陸状になった棚氷がそのまま海中に漂い始めたものなのに対し、北極の氷山は山のV字谷を辿って形成された棚氷が海中では逆さまになるため、尖った部分が上になることに由来しています。
海水が凍ったものは「定着氷」と呼びます。定着氷が割れて漂っているものが「海氷」「浮氷」「流氷」などと呼ばれ、これは氷山とは似ていますが異なるものです。大きさも全く違い、南極の氷床が割れてできた氷山は卓上型氷山とよばれ日本の一つの県がすっぽりと入るほどの大きく広いのです。
地球温暖化で両極の氷が溶けた場合の海面上昇が問題になっていますが、北極の氷山などのように海に浮かんでいるのでそれが溶けたとしても海面上昇はほとんどありません。しかし南極の氷床は厚さ2000mもありそれが溶け出したら、海面上昇は少なく見積もっても70mもあります。これは大変なことですね。
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