秋は紅葉の季節です。紅葉は、落葉樹独特の生理機能で、四季のある温帯地方の一大イベントとなっています。熱帯では一年中気温が高く、葉を落とす必要が無いので常に青々としており、成長の度合いも早く、ゆえにうっそうとしたジャングルになります。
一方でツンドラなど寒冷地では、日照も少なく気温も低いなか成長する必要があるので、大事な光合成をする葉を落とさなくてもいいように、葉に厚みを持たせ乾燥しにくいように針のようにして生き延びてきたのです。
では四季に恵まれた日本の紅葉。メカニズムはいったいどうなっているのでしょうか?
紅葉とは、落葉樹の葉が秋から冬にかけて赤や黄色に色を変える現象です。落葉広葉樹(夏緑樹)ばかりだけでなく一部の針葉樹(カラマツなど)も黄色く紅葉します。
夏に比べて秋冬は日照時間が短くなります。そして同時に気温が低くなるので樹木はその葉の中で光合成を行えなくなり冬眠の準備をします。まず葉の中の葉緑素が分解され、栄養分である炭水化物やタンパク質、無機塩類は葉から茎に移動し、やがて不要になった葉を落とします。
◆葉が黄色になるのは?
光合成を盛んに行なっている時点の葉には葉緑素という緑色の色素が見えています。このため葉は緑色に見えます。葉の中には葉緑素だけでなくカロチノイドという黄色の色素が少量含まれています。秋に葉緑素が分解され緑色の色素が消えると今まで目立たなかったカロチノイドが黄色く見えるようになのです。(カラマツ、ミズナラ、ブナなど)
◆葉が赤色になるのは?
葉が赤くなるのは黄色くなる場合と全く異なり、タンパク質が分解される時にできるアントシアニンというアミノ酸の一種が葉の層に合成され、それが赤く見えるとされています。
さて、紅葉は一般的に最低気温が5?6℃になった頃が見ごろと言われ、標高の高い山岳地帯では9月下旬頃から始まりだんだん平地に降りてきます。紅葉は昼夜の温度差が大きく、日当たりの良い所が綺麗とされています。