お菓子や海苔の乾燥剤といえばシリカゲル。最近ではネコのトイレ用の砂や床下の湿気取り、靴の乾燥シートなどによく使われています。ドライフラワー愛好家の間では生の花を乾燥させるのに必須アイテムですし、じつにタバコのフィルターにも仕込まれていたりします。
シリカとはケイ酸(珪酸)のこと。ケイ酸とはケイ素、酸素、水素の化合物の総称です。ケイ素は別名シリコン。岩石はケイ素でできており、地球上でもっともポピュラーな元素です。
そのケイ酸をゲル化させたものがシリカゲル。ゲル化とは、そのままだと液体で流動性があるものが、流動性を失った状態をいいます。たとえば、豆腐やこんにゃく、ゼリーなどが「ゲル」です。ゼリーと違ってシリカゲルは硬いですが、これはケイ酸ナトリウムゲルを脱水乾燥させたものだからです。脱水乾燥する前は「水ガラス」ともいわれます。
シリカゲルの表面は多孔性に富み、スプーン1杯分のシリカゲルがテニスコート面積以上の広大な比表面積(比表面積=1グラムあたりの粒子表面積)を持っています。この表面積が吸湿に役立つというわけです。
そのほかにもシリカゲルが吸湿に優れた性能を発揮するのは、シリカゲル中の表面水酸基(~OH基)が空気中の水(H2O)と化学反応を起こして結合し、内部に取り込むためです。物理的吸着能力は竹炭等にもありますが、シリカゲルはこれに加え、科学的吸着能力があるため、圧倒的な吸湿能力があるというわけです。
また、化学結合をした水は、加熱することで蒸散しますので、電子レンジやフライパン加熱でシリカゲルは再生が可能です。ただし、家庭で完全に再生することは難しく、次第に乾燥能力は落ちていきます。身近なシリカゲルですが気になるのはその安全性です。ご安心ください、食べても大丈夫なくらい安全な代物なのです。
シリカゲルの主成分二酸化ケイ素(SiO2)は地殻の60%以上を占める非常に安定した物質で、非常に安定した状態にありますので、食品と一緒に入れても変化が無いため安全です。また二酸化ケイ素は食品添加物にも認可されている物質で、その安全性は有害性を判断する急性、慢性毒性試験などにより確認されています。
シリカゲルの袋をよく見てみると「A形」「B形」と書かれています。また粉状のものもあれば球状になっているものも有ります。A形は緻密な構造をしており表面積が広いため、低湿度の条件下でさらに湿度を下げるのに適しているので、菓子などの包装に多く用いられます。
B形は、構造が粗いため毛細管現象が起こりやすく、高湿度の条件で多量の水分を吸収するのに適しています。タンスや下駄箱、住まいの床下調湿などの吸湿剤に適しています。またB形は低湿度の条件では一旦取り込んだ水分を放出する性質を持ちます。
《シリカゲルの主な効用》
吸湿効果:多孔質・内部表面積が大きく空気中の水分を多量に吸着。
防臭効果:湿度と一緒に臭いも吸収して除去。
防虫効果:乾燥を嫌うダニ等はシリカゲルの効果により生息不可能。
防カビ効果:湿気で発生しやすいカビは速乾性により発生を防ぐ。
シリカゲルの保存は密封できる袋か容器に入れて保存しましょう。また不要になったシリカゲルは不燃ごみとして処分します。