冬晴れの青い空がきれいな昨今ですが、北の地平線近くでは空の色が黄土色(おうどいろ)になっていることがよくあります。これは黄砂(こうさ)の影響です。本来日本では、特に春先(3月から5月)によく観測されるとされましたが、最近ではそれ以外の季節でも観測されることが多くなりました。
黄砂はYellow sandまたはAsian dustともいわれ、砂嵐によって上空に巻き上げられた中国大陸の砂漠(黄土高原、ゴビ砂漠、タクラマカン砂漠)の砂が、偏西風に乗って日本上空に飛来し、地上に降り注ぐ現象のことをいいます。江戸時代の書物に「泥雨」「紅雪」「黄雪」などの黄砂に関する記述が見られることから、古くからある現象のようです。
気象庁では、黄砂が降り注ぐ現象が視程(視界)が10km以下になると「黄砂」であると発表されます。大量に降り注ぐ場合は、視界が悪くなったりクルマや洗濯物が汚れたりといった被害も発生します。
昔より黄砂現象はひどくなっているようで、その原因は中国における耕地拡大や産業優先の環境破壊によるものとの説も有り、今後さらにひどくなれば環境問題として捉えなければなりません。
黄砂は大気中に留まれば、太陽光線を阻害し農作物に影響を及ぼします。また地球を寒冷化する作用もあるでしょう。逆に、氷の部分に降り積もれば、反射していた赤外線を取り込み、地球温暖化にもつながります。
ちなみに黄砂の「黄」という字ですが「おう」とも読むため、意外と勘違いして呼んでいる人も多いと思いますが「おうさ」ではなく「こうさ」です。
そのほかにも間違いやすい語句を以下に記します。
黄土色(おうどいろ)
黄土(おうど)
黄色人種(おうしょくじんしゅ)
黄色(きいろ)
黄砂(こうさ)
黄河(こうが)
黄昏(たそがれ)
なお、黄土色(おうどいろ)はもともと黄土(鉄分を含んだ赤い土)より精製された顔料のことで、主に日本画に用いられてきました。日本古来の染にも使われる伝統色で、JIS規格にも決められている色です。パソコンで表示する場合はカラーコード「#B8883B」として表示します。