先日、麻疹(はしか)の話をしました。ある特定の年代が大人になってからかかり、大学が休講になったりしているという話です。これは、彼らが麻疹にかかる子供の頃に、予防接種で重い副作用が出る事件があり、それがために予防接種を受けなかった例が多かったためです。
国の厚生政策としては、予防接種法という法律がありながら、受けたり受けなかったりというのでは困ることになります。そこで国民全員が安心して予防接種を受けらるように万一副作用が出たときのために救済措置を設けています。
予防接種法で定める予防接種は一類疾病と二類疾病があります。なかでも一類疾病は予防接種を受けさせる努力義務を課しています。その関係で、もし障害が残った場合は、手厚い救済制度を整備しているのです。
一類疾病は、DPT(ジフテリア、百日咳、破傷風)、MR(麻疹、風疹)、ポリオ、日本脳炎があります。これらの予防接種を国が定める対象年齢中に受けた場合、その副作用で障害が残った場合は以下の内容で保障されます。
医療費:自己負担分全額保障
医療手当:月額3万3800~3万5800円
障害児養育年金:1級 年153万1200円(在宅236万7800円)
2級 年122万5200円(在宅178万3000円)
※18歳未満に対応
障害年金:1級 年489万7200円(在宅573万3800円)
2級 年391万5600円(在宅447万3400円)
3級 年293万7600円
※18歳以上に対応
死亡一時金:4280万円
葬祭料:19万9000円
※以上は2006年4月現在の情報です。
この制度を利用するには市町村の予防接種担当課で受け付けてくれます。診断書など必要な書類を揃えて提出すると、諮問機関の審査を経てる数ヶ月で結果が出ます。
この制度が始まったのは1976年からですが、2005年までに死亡一時金が58件、障害年金は346件認定を受けています。本来ならば、このような認定事項が皆無なのが理想ですが、万一の時には頼りになるでしょう。
しかしながら、これだけの認定があるということは、それだけ副作用もあるということで、親としては微妙な心境とならざるを得ないところでしょう。
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