パインと聞くと何を想像しますか?
おそらく美味しい果物のパインを想像されるでしょう。フレッシュなパイン、缶詰のパイン…。
でも、この果物のパインは正しくはパイナップル(Pineapple)。語義は「パインのようなアップル(りんご)」という意味です。ではこのパインとは何でしょうか?正解は「松」です。パイナップルは松の樹皮や松ぼっくりのようにガサガサしている外見です。しかし中身はとてつもなく甘いのでこの名が付いたのでしょう。
さて今日は木材としてのパインの話。パインは松の仲間を総称してパイン材として広く建築物に利用されています。日本の松は木目がやや粗いので、仕上げ材としてではなく、価格も安いことから構造材によく用いられました。
パインは松の仲間ですから針葉樹です。針葉樹はもともと日照が少なくても、寒くても生きられるよう進化した植物ですが、結構暖かいところにも育っています。
松の仲間は非常に種類が多く、クリスマスツリーに使われるモミの木も松の仲間。これはファー(Fir)と呼ばれます。オーディオマニアなら誰でも知っているJBLスピーカーの箱として有名な米松は松と付いていますがダグラスファーです。
また建築材料として使われるスプルース。木目が白くまっすぐなので好まれますが、これはトウヒ(唐檜)の仲間です。日本でクリスマスツリーとして売られているのは実はこのトウヒだったりします(ややこしい)
とどのつまり、同じ松の仲間であっても、それぞれ地方で育ち、その環境に適合するうちに進化し、松だったりトウヒだったりモミの木だったりするわけです。これらの区分は実質難しいので、ホームセンターで売られている2x4材は総称してSPF材とくくられています。(S=スプルース、P=パイン、F=ファー)
ちなみにパイン材は北欧家具などにも使われていますが、本来パイン材は軽く柔らかいため、傷には弱かったりします。また、針葉樹は寒いところほど木目が細かくなり緊密な木質となるため、寒い地方で育った材が良質とされます。
パインは松脂といわれるように樹脂が多く含まれる木材です。ヤニ壷といわれる樹脂溜まりに遭遇すると木材としては使いにくいですが、家具として長年使っているとこのヤニのせいでだんだん飴色になって風格のある家具に成長します。これがパイン家具の魅力でもあるのです。