企業の粉飾決算を幇助したとして公認会計士や税理士が責任を問われる事件が多発しています。
公認会計士・監査審査会は5日、中堅監査事務所の東陽監査法人を検査した結果、業務運営が不当であると判断し、金融庁に行政処分を勧告したと発表した。業務管理や法令順守体制が不十分であることなどが認められた。(2007年7月5日20時22分配信ロイター)
そもそも公認会計士や税理士とはなにか?どのように違うのか?
公認会計士は公認会計士法という法律で定められた国家資格です。弁護士、不動産鑑定士と並んで、難しいといわれる国家資格ののなかでも三本指に入る資格です。
公認会計士は企業が作成する財務諸表(貸借対照表、損益計算書、利益処分計算書など)が正しいかどうか、不正はないかどうかを監査して真実性を証明するのが仕事です。監査ですから中立性と公正さが求められます。
主な仕事は監査ですが、そのほかにも企業の経営に関する調査、立案、相談などにも乗るアドバイザー的な仕事もします。いわば企業会計の監査役といえましょう。
一方で税理士は、税理士法に基づく国家資格で、主に企業や個人の税金に関する諸手続きを代行するのが仕事です。所得税、相続税、贈与税、法人税、事業税は申告が必要ですが、これらの申告代行、書類の作成、税務相談などを行います。
税法の知識がある素人が他人の確定申告書を作ってあげたり、税務相談を受けてお金をもらったりしてはいけません。これは税理士の仕事であり法律で固く禁じられています。
公認会計士が企業専門であるのに対し、税理士は企業のみならず一般個人の税務も引き受けるのが普通です。街の計理士さんといったところでしょうか?(今は「計理士」という資格はありません)
公認会計士は大企業の会計監査を請け負う場合があるので一人では手に負えず、複数の公認会計士がチームを組んで請け負うことが多く、そのために生まれたのが制度が監査法人です。ところが不正を見抜けなかったり、故意に見逃したりする不祥事もこの監査法人に多かったりします。組織ぐるみか??
公認会計士にしても税理士にしても公正さが売り物のいわゆる「士業」。「さむらい魂」を忘れてはいけませんね。
ちなみに、国家資格の難しさとしては税理士より公認会計士のほうが難しいです。公認会計士試験は短期間に全科目について合格点を取らなければ合格しません。またこの試験は合格点をとれば受かるというものではなく、受験者のうち上位の一定割合だけが合格できるという相対評価の試験です。したがって、常に上位に食い込む作戦が必要な試験なのです。時間のない社会人には厳しい資格である反面、時間のある学生が有利な試験です。
対する税理士試験は、5科目ありますがこれを一つずつとっていけばいいので、1年ずつ5年間で取る、などの計画ができるため、時間のない社会人でもチャレンジできる資格です。なお公認会計士の資格を取ると自動的に税理士の資格も付いてきます。