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[1094]高所平気症

高所恐怖症というのがあります。高いところが怖い。しかしこれは恐怖「症」とありますが病気とはいえません。ヒトは鳥や猿ではありませんから高いところは行動範囲ではありません。落ちれば命にかかわります。したがって高いところは怖いのが当たり前なのです。

ところで最近聞くのが高所平気症。これは高いところが平気な人たちのことを言います。レンジャー部隊やとび職の人たちは訓練で高いところが平気になったのであり、それでもやはり怖いと思うことはあるそうです。そういう人たちではなく最初から高いところが平気なことを高所平気症といいます。これこそ病気といえるでしょう。

高所平気症は高さについての恐怖心が薄い症状で、生まれながらに高層マンションで育った子供たちに多いとされます。高い木の上の巣で育ったひな鳥の心境なのでしょうか。

高所平気症が問題となるのは、高層マンションでの子供の転落事故です。もともと子供は立体的な感覚が未発達のため、自分の位置が危険なのかどうかを判断できにくいのです。そこでマンションの手すりから乗り出したり下を覗き込んだりしているうちに誤って転落してしまうことが多いとされます。危険を身を持って知っていれば乗り出したりしないはずなのですが。

問題なのは、高層マンションなどの構造にあります。高さが15階もあるのにベランダの柵は上が開いていて乗り越えられてしまう。ベランダの柵は建築基準法で110センチ以上と決められているものの、そんな高さでは好奇心あふれる子供は乗り越えてしまうのが当たり前。

高層マンションのベランダや階段の踊り場、外廊下などはすべてガラス張りにするか柵で覆ってしまうべきでしょう。東京タワーや高層ビルのラウンジで乗り越えられるところなどありません。これはそういった事故があると管理責任を問われるからです。マンションも同様の考えで環境管理すべきでしょうね。

以前述べた「犯罪は環境で起こる」と同様に「事故も環境で起こる」といえるのではないでしょうか。

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