ウランといえばまず思い浮かぶのがウランちゃん。鉄腕アトムの妹ですね。ちなみにアトムの弟はコバルト。兄弟揃って原子力に関係のあるネーミングは作者である手塚治虫氏の未来における原子力の可能性に期待したものと思います。
そのウランですが元素として1789年に発見されました。1781年に発見された天王星Uranus(ギリシャ神話における天の神ウラノス)が語源となっています。
ウランは放射能を持つ鉱物です。天然の状態で核分裂を起こし、それが熱エネルギーになるため、原子力発電の燃料として重宝します。一番の埋蔵量を誇るのがオーストラリア。しかし輸出ではカナダが世界一。そのほかウラン鉱山としてはコンゴ民主共和国、ニジェールなどが有名です。北朝鮮にも埋蔵量が多いとされ、北朝鮮の核開発のベースとなっているようです。
日本ではどうかというと、鳥取県と岡山県の県境にある人形峠が唯一のウラン鉱山。1954年に原子力予算が成立するとすぐ日本におけるウラン探鉱が始まり、見つかった鉱山が人形峠です。人形峠はゴールドラッシュのごとくにわかに活気付き、採鉱が始まりましたが、すぐに被爆が問題になり現在では原子力機構の管理の下、静かになってしまいました。
ウランはそれ自体に放射能があり、採鉱現場は被爆に晒されることになります。採鉱中に発生するウランの仲間の放射性物質ラドンは気体であるため、ウラン鉱山労働者に肺がんをもたらしました。ウランの危険性を認識しないまま採鉱に踏み切ったことの悲劇です。今はもちろん安全に管理されている(はず?)。
ところで、このウランをガラスに混ぜこんだウランガラスが密かに人気です。薄いグリーン色が紫外線で蛍光を発するため大変美しい。しかも、今はウランガラスは素人では製造できないのでアンティーク品や骨董品しか流通していなく、高価に取引されているようです。ウランガラスは2006年に人形峠に開館した「妖精の森ガラス美術館」で見ることができるようなので、一度見に行ってみてはいかがでしょうか?