享年は「きょうねん」と読みます。享という字には「受ける=receive」という意味があり、享年は、人や動物が「天から享(う)けた年数」という意味で使います。
この世に存在した年数を表しますので「享年70」と表記するのが正しい使い方です。よく「享年70歳」という「歳」をつけた表記を見受けますが、享年は死亡時の年齢ではありませんのでこれは間違いになります。
阿久悠氏の場合
生年月日 :1937年2月7日
没年月日 :2007年8月1日
生存した年数 :70歳と約6ヶ月、数え年で表記→享年71
没したときの年齢 :満70歳(数え71歳)、表記→(70歳没)
享年に使う数ですが、年齢と同じではありますが、数え年のときもあれば満年齢のときもあります。仏教では享年を行年(ぎょうねん)ともいい娑婆(しゃば=現実)世界で「修行した年数」をいいます。仏教でも数え年を使うときもあれば満年齢をそのまま使う場合もあるようです。
また、享年は天から授かった本来あるべき寿命を全うした場合に使われることが多く、志半ばにして夭折した若者、あるいは幼少者に対しては使わないのが普通です。これは本来の享年はもっと長いはずだという思いがあるからです。
「享年」は基本的に仏教から発しているので、他宗教のキリスト教やイスラム教などでは使用しません。普段何気なく使っている言葉ですが、その意味を知ることで使わない場合や使ってはいけない場合を知ることができ、これこそ教養といえるものだと思います。
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