旅行にいくと必ずお土産を買いたくなります。会社の同僚や家族にということならばそれも納得ですが、誰にということでもなく、へたをすると自分に買ったりもします。自分にお土産というのは全くへんですがこれも神の国日本人のなせる業だからでしょうか。
おみやげは漢字で書くと「お土産」となり、旅行に行った先での名産を持ち帰る、というような意味に理解していると思います。しかし本来の「おみやげ」の意味はちょっと違います。
「みやげ」は本来「宮笥(みやげ)」と書き、お宮でもらう木でできたお札のことをいいます。お宮とは前にも書きました神宮のことであり、この神宮とは伊勢神宮です。
伊勢の近所ならばいいですが、九州や東北、北海道なども遠方の僻地ではこのお札をもらいにいくことはじつに大変なことだったのです。
お札をもらいに行く人は、村でも特に頑強な人物が選ばれました。村人は使者にお賽銭を渡し、自分の祈願を使者に託しました。これが餞別(せんべつ)の始まりです。
しかし、遠い伊勢参りです。その頑強な人物でさえ遠い生きて戻れるかどうかはわかりません。お賽銭を渡したものの帰ってこないことも多くあったでしょう。「餞別」が今生の別れに使われるようになったのはこんな背景があるのかもしれません。
村人に託された頑強な使者は無事神宮にたどり着き、村人に代わって祈願をし、お札(宮笥)を皆が待つ村に持って帰ります。これが「みやげ」の発祥です。
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