汽水(きすい)とは海水と淡水が交じり合っていることをいいます。海に流れ込む河川がある場合、その河口付近では海水と淡水が交じり合っていますが、この付近を汽水域といいます。
汽水かどうかの判断は含まれる塩分(塩化ナトリウム)濃度によります。塩分濃度が0.05%以下の場合は淡水。3.5%以上の場合は塩水(海水)。その中間0.05~3.5%を汽水といいます。
汽水域では淡水と海水が完全に交じり合っているかというと実際はそうでもなく、塩分を含んだ海水は重いので、下層に漂い、塩分を含まない軽い淡水は表層に漂っていたりします。
そのため汽水域は淡水に棲む魚群と海水に棲む魚群が入り混じっているので、漁業においても重要な意味を持ちます。また、塩分濃度が中間であるため生物層も特殊となり、この区域にしか生息しない特異な生物群もあります。
汽水は単に海水と淡水が混ざっているということだけでなく、その淡水は川から流れているということが重要です。その川の源は森林。森林ではぐくまれたミネラル分たっぷりの水が川を伝って海に流れ込んでいる、つまり汽水域は海と森との融合している場所ということができます。
そのため、汽水域は生物の宝庫で、汽水域に棲む生物は淡水でも海水でも生きられるものや、沿岸の植物には淡水によって発芽するものなど、その環境に根付いた生物の生態には驚くものも多くあります。
汽水域で有名なのはシベリアに面する北極海、バルト海、黒海などでは広域にわたって汽水域となっています。日本では汽水湖として有名なのは浜名湖や宍道湖。ともに湖というより海続きの湾といえるものです。