中国には本来の中国と呼べる地域とそうでない自治区があります。自治区を中国ではないというと中国からクレームがきそうですが、漢族による地域を中国とするならば、自治区は漢族とは別の民族で形成されている地域です。もともとは別民族の国だったものを中華人民共和国が吸収し、平和のためその民族に自治を任せようとするものです。
現在中国の自治区は5つあります。
1.内モンゴル自治区(首府:フフホト)
2.広西チワン族自治区(首府:ナンニン)
3.新疆(しんきょう)ウイグル自治区(首府:ウルムチ)
4.チベット自治区(首府:ラサ)
5.寧夏回族(ねいかかいぞく)自治区(首府:インチュワン)
この中で今話題となっているチベット自治区は中華人民共和国の西部にある自治区です。チベット自治区の北には新疆ウイグル自治区があります。東部は青海省と四川省に接しており、南側はインドとブータン、ネパールとの国境に接しています。
チベットは1950年以前は独立した国でした。しかしその後中国の軍事侵攻により中国の配下となりました。その後も多くのチベット人が中国軍によって殺害されたため1959年にチベット人が集まって蜂起、中国政府に抗議する行動に出ましたが、中国人民解放軍はこれを鎮圧。難を逃れたダライラマ14世と8万人のチベット人が北インドに亡命。ここにチベット亡命政府を置きました。
現在中国内のチベット自治区には自治政府はあるものの、国際的にはダライラマ14世率いる北インドの亡命政府がチベット政府と見る動きが優勢です。
ちなみにダライラマ14世はチベット仏教であるラマ教の宗主。ラマとは「師」を意味し、仏・法・僧の三宝に法を伝える「師」を加えて四宝とし、ラマ教はこれを伝える仏教系の宗教です。ダライラマは16世紀からチベットに君臨する宗主で、現在のダライラマは14代目となります。チベット教ではダライラマは生き仏として、また観音菩薩の化身として崇められています。