小学生の頃、理科の実験で顕微鏡を使い、ノミの気門やプランクトンなどを見て興奮した記憶があります。学校で見るだけでは飽き足らず、どうしても顕微鏡が欲しくて親にねだった記憶も。
一般家庭で手に入る顕微鏡は光学式の顕微鏡です。顕微鏡下部にある凹面鏡で光を集め、それをプレパラートガラスに挟んだ検体にあて、それを透過する光をレンズで集光し、接眼レンズで拡大して見るものです。
光学式の顕微鏡は細胞クラスのものは見ることができますが、それより小さいウイルスなどは見ることができません。これは光の波長より小さいものは、認識ができないからです。
そこで発明されたのが電子顕微鏡。電子顕微鏡は光の代わりに電子線を使います。光より波長の短い電子線を使うことで、ウイルスのみならず原子クラスのものまでも見ることができます。
光学式の顕微鏡は、集光装置にガラスのレンズを使います。電子顕微鏡の場合はガラスのレンズではなく、電気的に磁場を作りその地場を利用したレンズで電子線を収束させるのです。
電子顕微鏡の方法は大きく二つに分けることができます。ひとつは電子線を検体に透過させて見る方法。もう一つは検体に電子線をあてその反射で見る方法。
前者は透過型電子顕微鏡、後者は走査型電子顕微鏡といいます。検体の性質に応じて使い分けていますが、両方の特長を併せ持った走査型透過電子顕微鏡というのもあります。
電子顕微鏡というと光学式顕微鏡に比べ、相当な倍率があると思いがちですが、電子顕微鏡の得意技は倍率ではなくて分解能です。つまり細かく見ることができる能力。分解能が優れていれば、大きく伸ばしたときにも、画像が鮮明になります。これが電子顕微鏡のいいところ。電子の力で、微細なものも見ることができるようになり、科学は格段に進歩しました。
ちなみに電子顕微鏡は買えるのかというと、これが売っていたりします。最安値としては約800万円。上を見たらキリがありませんが、高性能なものでも3,000万円位で買えるようです。一家に一台電子顕微鏡はいかがでしょうか?