情けは人の為ならず
この意味はどちらでしょうか?
(ア)人に情けをかけておくと、巡り巡って結局は自分のためになる
(イ)人に情けをかけて助けてやることは、結局はその人のためにならない
正解は(ア)ですが、じつのところ(イ)と誤解している人が正しく理解している人を超えているというデータがあるようです。
このことわざは日本のもので、出典は南北朝時代の1300~1400年ころの伝記「曾我物語」からきています。もちろん原典の意味するところは(ア)。これは道教の教えでもあるようです。
誤解の根本は、「人の為ならず」の解釈を、「人の為にならず=人の為にならない」と独自解釈してしまうことから発しています。ここは「人の為=他人の為」+「ならず=ではない」つまり「他人の為ではなく」と解釈すべきなのです。
しかしこれだけ誤解が多いということは、それなりの理由がありそうです。というのも本来の意味である「巡り巡って」というのが忙しい現代人に合わない事。そして、他人のためにならない=甘やかさない、という理論も厳しい現代で生き抜くには必要なことというなるほどと思わせるものがあるからでしょう。
2008年9月22日、自民党総裁選により選出された第23代総裁麻生太郎氏(68)は平成18年の外務大臣時代に演説でODAの必要性を説いていました。そのときに引用されたのがこの「情けは人の為ならず」。
《麻生氏の演説要約》
「ODAは他人を思いやる暖かい気持ちを抜きにやって貰っては困る。最後は日本のためにしているのだという点を忘れて貰ってはいけない。」
《似たような諺》
「情けは質に置かれず」…質草(金銭的価値)にもならない情けは役に立たない
「情けが仇」…かけた情けがかえって悪い結果になること
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