尿素とは「おしっこの元」と書きます。尿素は肥料として一般によく知られますが、最近「手あれ」を防ぐクリームに「尿素入り」と言うのもあり、これって汚くないの?と思ってしまう人も多いことでしょう。
尿素はその名の通り、尿の中から発見されました。しかし製品としての尿素は尿から作ることはなく、ほとんどが化学合成されています。
尿は身体の中で利用されたタンパク質などの窒素化合物を分解して老廃物として最終的に排泄する機能を持っています。窒素化合物の老廃物はアンモニアという形で排泄されますが、アンモニアはそのままだと人体に有害なので、安全な尿素をという形に変えて蓄えておきます。
尿素はアンモニアと炭酸ガスの化合物なので、有機物です。化学肥料なのに有機物というのは尿素くらいではないでしょうか。
アンモニアは窒素肥料になりますので、尿素は窒素肥料として使われます。同じく窒素肥料として有名なのが硫酸アンモニウム(硫安)です。しかし硫安は畑の土壌を酸性にしてしまうので、最近では中性の尿素肥料が主流になりつつあります。
ちなみに、尿素は腎臓で作られますが、腎臓の強い硬骨類の魚はアンモニアを尿素に変え尿として排泄することができるので、おいしい魚となります。ところが腎臓の弱いサメなどの軟骨魚類やほや等は、アンモニアを尿素に変えてそのまま体に蓄積するので、鮮度が落ちると肉の中の尿素が分解してアンモニア臭くなるのでおいしくありません。
さて、その尿素入りクリームが、どうして手あれを防ぎ、保湿するのでしょうか?
尿素は体内に存在する窒素と炭素の化合物。主にタンパク質を分解してこの化合物となるわけですが、肌の角質層もタンパク質でできているため、尿素の働きとしてこの角質層を分解するため肌がツルツルになったような感じを与えます。
また、窒素と炭素の化合物の状態であるときに、化学的に水分子を取り込みやすい状態になっています。皮膚表面には水分子が存在するので、それを取り込んで離さないため、保湿効果があるのです。
古い角質層を分解する能力と、水分子を取り込む保湿効果があるため、尿素入りクリームを使うとしっとりした感じがすぐに得られるので、手あれのひどい冬場で人気商品となっています。
ただし、保湿能力はともかく、タンパク質の除去能力は、健康な角質も取り除いていしまうこともあります。尿素入りのクリームを長く使っていると、最初のときほど効果が無いことに気づきますが、それは健康な角質層まで除去しているのかもしれません。
尿素入りクリームは薬として考え、手あれがひどいときに使い、それが回復したら使用を止める、などの使用方法がよさそうです。
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