北朝鮮は4月4日から8日までの間に試験通信衛星「光明星2号」を銀河ロケットで打ち上げると予告しています。これを受けて、日・米・韓国など6カ国協議参加国はいずれも懸念を表明。日本の麻生総理も「国連安全保障理事会の制裁決議に違反する」として再三中止を求めているのが現状。
北朝鮮は平和利用の宇宙開発といい、他の諸国は軍事兵器の開発と位置づけているところに問題点があります。果たして、北朝鮮が行なう「ロケットの発射」宇宙開発なのか軍事開発なのか?
これは実のところ、判断は難しいのです。
というのは、今回使うロケットはテポドン2号といわれ、この弾頭には、人工衛星も積めるし核弾頭も積めます。そして大気圏外(高度約1000km)まで打ち上げられた弾頭を地球の周回軌道に乗せれば人工衛星だし、その軌道を他国のある地域に向ければ大陸間弾頭ミサイルになるからです。
つまり宇宙開発と大陸間核兵器開発は同じ技術を使い同じレベルが要求されるもの。したがって、人工衛星を打ち上げられる国は、大陸間弾頭ミサイルを所持しているのと同じことなのです。
今回北朝鮮の行なおうとしている実験について、平和利用かそうでないかの議論はこれで無駄であることがわかるでしょう。
で、麻生総理も問題視しているように今回の北朝鮮のロケット発射計画は「国連安全保障理事会の制裁決議に違反する」ということが論点です。
北朝鮮は2006年7月、何の前触れも無く長距離弾道ミサイル「テポドン2」などの連射しました。この行動に対して国連安保理は北朝鮮にミサイルに関するあらゆる計画の停止を要求し、日本はその決議に基づき、北朝鮮関連の金融機関の取引凍結などの経済制裁に踏み切ったいきさつがあります。
だから、今回の北朝鮮のロケット発射計画は「人工衛星」でも安保理決議違反だ、といっているわけです。
一方で北朝鮮は元より自国のための宇宙計画だといっており、2006年のテポドン発射についても悪びれる様子はありませんでしたから、今回もおそらく実験を敢行することでしょう。そしてそれをネタにいつもの瀬戸際作戦で自国に有利に国際世論を導くに違いありません。善悪は別としても、国益(独裁国家ではあるが)を最優先する政治手段は、日本も見習うべきところがあるかもしれません!?