福島第一原発周辺の避難指示。半径20km以内は避難指示。半径20km-30kmは屋内退避。じつは屋内退避のエリアやそれ以遠のエリアのほうがどうしていいかの情報が少なくストレスは大きい。
福島第一原発の事故の影響で周辺の放射線量が増えているようです。確認されている放射性物質はヨウ素とセシウム。これは原発では普通に生成される放射性物質です。
でも、ヨウ素といえば、海藻に含まれる栄養分としても有名。それがなぜ危険な放射性物質なのか?
じつは海藻に含まれるヨウ素と放射性物質のヨウ素とは同じ元素ですが原子核を構成する陽子・中性子・電子の数が違う放射性同位体です。同じ元素ですが重さが違うのです。
通常のヨウ素→ヨウ素-127=127I [127アイ]
放射性同位体のヨウ素→ヨウ素-131=131I [131アイ]
ヨウ素-131は原子炉事故の際の放出されることで有名な放射性物質で、代表的な原発事故は1986年4月26日に起こった旧ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリ原発事故です。
放射性のない安定したヨウ素。加熱すると紫色の気体となる。
ヨウ素-131はガンマ線、ベータ線を放出し、そのベータ線による甲状腺被曝が問題となります。ヨウ素-131が放出されたこの原発事故の影響で甲状腺がんの多発があるとされ、その対策で海藻を食べるいいという噂が流れたので、思い出すかたも多いでしょう。
ヨウ素は甲状腺に溜まる性質があり、汚染されたヨウ素-131が甲状腺に溜まる前に海藻の(安全な)ヨウ素を先に摂取しておけば、汚染されたヨウ素-131は体外に排泄されるという説に基づいたものですが、その効果は定かではありません。またヨウ素は単体では劇物なので、服用する場合は医師の処方が必要です。安易にヨード剤やイソジンなどを飲んではいけません。危険です。
今回の事故現場の福島第一原発から放出されるヨウ素同位体は冷やされて細かい粒になり空気に乗って漂います。これを吸い込むと体の中に入ってから放射線を発し続けますので長期間(半減期約8日)も被曝することになります。体の外ならば洗い流すことも可能ですが、体の中に入るとかなり厄介です。身体に付着させないこと、吸い込まないことが何より大事です。雨に当たることもよくありません。