黒煙が上がる福島第一原発の3号機。予断を許さない状況は今も変わらない。
東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)から二週間が経ちましたが、被災者の確定はいまだできず、余震は収まらず、福島第一原発は予断を許さない状況です。原発の現場では放射線量(単位:シーベルト)を測りながら決死の作業が今なお続いています。
福島第一原発からは刻々と放射性物質が漏れており、付近の農作物に暫定規制値を超える放射能が検出され福島、茨城、栃木、群馬各県で産出されたホウレンソウとカキナが出荷停止となりました。これは、原発から漏れた放射性物質が大気中に漂い、農作物に付着したものです。また東京都の水道源である金町浄水場の水道水から1kgあたり210ベクレルの放射性ヨウ素が検出されました。
今まで聞きなれないシーベルトとベクレル。これは放射線に関する単位で、本来安全性を保証されている国においては国民は知らなくてもいいものです。しかし今日本では一番知らなければならない単位となってしまいました。シーベルトやベクレル、毎日聞かされるとなんとなく身についてしまっていることはじつに恐ろしいことです。
「ベクレル」と「シーベルト」の違い。
ベクレル→放射線を出すほうの単位
シーベルト→放射線を受けるほうの単位
ベクレルは放射線を出す強さの単位。放射性物質が多く付着していれば、放射線も強くなります。今回の例で言えば、放射性物質に汚染されたホウレンソウから出る放射線を測る場合に「ベクレル」という単位を使います。農作物の出荷暫定規制値はヨウ素131の場合1kgあたり最大2000ベクレルとなっています。
一方で「シーベルト」は放射線を受ける側の単位です。放射線が出ている物質があっても、近くでは大きいシーベルト値を示しますが、遠く離れれば小さいシーベルト値となります。原発で作業する際に使う放射線計測器は、このシーベルトを測って作業員に安全な作業時間を知らせる機械です。
たとえば2000ベクレル/kgのホウレンソウを食べた場合、体が受ける放射線量は0.044ミリシーベルト。実際には1kgも食べないのでたとえば50gを摂取したとしても0.002ミリシーベルトになります。
放射線は宇宙から間断なく降り注いでおり私たちは自然状態でも年間2.4ミリシーベルトの放射線は浴びています。これ以外にCTスキャンなど人工的な放射線は年間1ミリシーベルト(1000マイクロシーベルト)が許容限度とされています。だからホウレンソウは食べても全然大丈夫なのですが…。
日経新聞より抜き出した被災者数値推移データをまとめました。
◆阪神淡路大震災と東北関東大震災(東日本大震災)の被災者数比較