ヤモリという生物がいます。ヤモリとは「家守」と書き、その名のとおり家を守る生物として長年親しまれています。悪さはせず、天井裏に住みついて蜘蛛などの小動物を常食としています。
新しい家では滅多に見ませんが、古い農家や民家では今でも見ることができます。似たような生き物に「イモリ」というのがいますがこれは田んぼの中に生息する生物で、こちらも滅多に見なくなりました。
昔、静岡県の旧家で25年ぶりに改修しようと壁板をはがしたところ、ヤモリが一匹釘に打ち付けられていた。しかも驚くことにこのヤモリ生きている。背中を釘で固定されたまま元気にぐるぐる動いていた。ということは25年前の改修のときに運悪く大工に釘で打ち付けられて、そのまま25年間生き続けたということだ。
不思議に思ってよく調べてみると、周りに小さな穴がある。どうやらこの穴をたどって、ヤモリの奥さんが食べ物を運んだらしい。25年間も変わらぬ愛にただ脱帽。
加筆修正版「ヤモリとイモリ」