1874年(明治7)に警視庁が設置された時、巡査が屯所(警察署)から「交番所」に出向き、そこで見張りをし一定の時間がたつと次の当番と交代するという勤務体系をとっていた。そのときの休憩場所を「交番舎」と呼びこれが「交番」の始まり。
1881年(明治14)になると、警察官が6人で一定の地域を受け持つ「巡査派出所」がつくられ、1888年(明治21)になると、内務省訓令で外勤警察の活動拠点として駐在所が全国的に広がる。駐在所は原則として家族とともに住み込み、地域社会の一員として活動する点が派出所と異なる。
以前は派出所も駐在所もひっくるめて交番とよんでいたが、警察庁は1992年に地域警察運営規則を改正し、94年7月からは「派出所」から「交番」が正式名称として決定。大阪府などではこれに先立ち、93年の夏から「KOBAN」の表示への切り替えを進めた。ただ「派出所」の呼び名も「警備派出所」として残っている。これは繁華街や空港などの特殊な地域に設置され、交番、駐在所を補う役割を担っている。
交番は、地域ぐるみで治安を守るという日本独自の制度として、海外でも評価され、1983年に交番をモデルにした「ネイバーフッド・ポリス・オフィス」がシンガポールに開設された。次いで、アメリカのいくつかの市、マレーシア、タイなどにも広がっていてその効果はてきめんだとか。
日本では現在この交番は都市部を中心に6500も設置されており、駐在所にいたっては8700箇所もある。まさに日本の治安を担っているといっていい。