北朝鮮から脱出する北朝鮮人を「脱北者」と呼んでいます。止めることが出来ない世界情報の流入により、北朝鮮内部では海外への関心が高まり、自国とのあまりの違いに驚愕し、脱北者が絶えないのが実情。しかし北朝鮮の国境は南側は韓国、北側はほとんどが中国となっており、一部ロシアと隣接するもその国土の地形から、脱出するのは中国か韓国しかないのが現状です。
韓国側国境付近は北朝鮮の警備も厳しく近づくこともできないといいます。したがって韓国側への脱出はほとんど不可能。そこで狙うのが警備が手薄な中国側の国境です。しかし、中国では原則脱北者を認めておらず、脱北者しようとする北朝鮮人に対して牽制警備を増強する一方で、中国内の脱北者を捕まえたなら強制的に北朝鮮に送還する方針を採っています。
2004年9月1日午前10時半(日本時間午前11時半)ごろ、中国北京の日本人学校に脱北者とみられる29人が駆け込んだ事件がありました。中国内で潜伏していた脱北者は、中国内で捕まれば強制送還ですが、日本大使館や領事館、日本人学校などに駆け込めば、治外法権のため中国は手を出せません。
現状では、日本は脱北者をすぐさま強制送還するようなことはしていません。国際的に見ても北朝鮮からの脱北者は、人道的な意味から難民として扱う傾向になってきています。したがって脱北者は日本の機関を狙って駆け込むのです。
脱北者というと国境から走ってきて大使館になだれ込む、みたいな印象がありますが、現実はそうではありません。今はむしろ国境付近は警備が厳しくなっているので事実上の脱北はむしろ難しくなってきています。行動を起こすのは以前より脱北してきた人が中国に潜伏し、その間に計画を練り、計画を今回の事件のように実行するのです。現に中国では数万人の脱北者が潜伏しているといわれています。
中国内の脱北者の行き先は、在外公館や東南アジア方面への脱出を経て韓国に入るルートが主流。タイ、カンボジア、ベトナムなどには韓国行きを密かに待つ相当数の脱北者がいるとされています。
韓国の受け入れはどうなのか?脱北者のほとんどは韓国入りを希望しています。もともとは同じ民族ですから当たり前です。韓国政府も脱北者の受け入れ体制はあるようです。これは国連難民保護法にも関連しており、人権を無視されている北朝鮮の人民は国際的には難民として扱う方向に向いています。難民である以上どの国も受け入れをしなければならない。そうなると脱北者を認めない中国の立場は国際的に微妙になってくるといえます。