人気のスポット六本木ヒルズで、春休み中に家族で旅行来ていた6歳男児がドアにはさまれ死亡するという痛ましい事故が起こってしまいました。
回転ドアは戦後まもなく、日本では欧米化するビルのエントランスとして多く取り入れられてきましたが、私の記憶では「事故が起こりやすい」ということや高価であるという理由から、しばらく使われていなかったものです。近年省エネに対する関心が高まり、回転ドア自体の技術も向上したことから、新しいビルに回転ドアが再度多く使われるようになって来ました。
従来の観音開きあるいは両開きタイプの引き戸タイプドアは、風除室が必要なことと、そして風除室を隔てて2枚のドアが通行量によっては同時に開いてしまうため、換気されてしまうということが起こります。その点、回転ドアは、2枚のドアのどちらかが必ず閉まっている為省エネに貢献します。
法的にも、平成11年の省エネルギー法の改正により、それまで規制対象になっていなかった事務所ビル、ホテル、デパート、学校、病院などが新たに対象となり、省エネに効果のある回転ドアの採用に貢献しています。この法律では対象となる建築物は電気600万kWh/年以上または原油換算で1500kl/年以上を使用する業務用ビルとなっています。大きなビルはほとんど対象となってしまいますね。
また、その構造上、床面に段差がないバリアフリー製品であることも大きく評価されています。さらにウイングドアを開放することにより大型の荷物や車の通過も容易にできます。先進のビルでは外観のデザインが美しいことも捨てがたい魅力となっているようです。
さらに近年問題となってきている高層建築物におけるドラフト現象も防ぐことができるとされています。ドラフト現象とは、吹き抜けのある高層ビルの場合、ビル内で温度差によって上昇気流が発生し、ドアが開かなくなってしまうという現象です。災害時にドアが開かなくなったら困りますね。そういった現象を回転ドアは解消してくれるのです。
しかし、たまに東京に赴いた時に遭遇する回転ドア。入るタイミングを測ってもたついてしまうのも確か。これでは高齢者や子供にはちょっと危ないかも、と思っていたものです。
今後問題となるのは、安全対策でしょう。今回の事故を起こした回転ドアも事故防止センサーが付いていたようですが、結果的に役に立たなかったということです。更なる研究をもって安全性を高めていって欲しいものです。