レーザー光線が発明された1960年。当時は殺人光線が発明されたとして少年漫画などで新兵器としてセンセーショナルにもてはやされたものです。たしかに20世紀における世界三大発明のひとつといわれるレーザーですが、殺人光線とするにはさらに大変な出力が必要で、それよりもレーザーがもたらす技術の革新のほうが重要でした。
最初に発明されたレーザーはルビーレーザーといわれるもの。レーザーの原理は難しいのでここでは端折りますが、簡単に言うと原子にエネルギーを与えることで生じた光と光がぶつかり合って同じ方向に飛び出してきたもの、ということができると思います。同じ方向に出てくるのでレーザー光の特徴は光線が広がらずにまっすぐ進む性質があるというわけです。
大変な技術も簡単に使えるようにしてしまうところが人類のすごいところ。今では通信ケーブルの中をレーザーが通るのはもちろん、CDやDVDなどの音楽や映像の再生装置にも広く使われたり、医療現場ではレーザーメスが欠かせない状況となっています。
重力波天文学という基礎科学の分野でもその計測にレーザーは主役となっています。重力波とは「重力の波動」でアインシュタインがその存在を予言しながらもまだだれも発見していない波動です。宇宙から来る重力波を検出するには大出力かつ極めて安定なレーザーが必要。東京三鷹の国立天文台の一角に据え付けられた重力波検出装置TAMA300は世界の重力波研究を先導するものとして学界の高い評価を得ています。
ところで1960年に登場したレーザーを光線銃としていち早く装備したのが漫画のエイトマン。エイトマンは自分がロボットであることで苦悩をするわけですが、殺人光線を装備したことでさらに悩んでしまうのです。人間より人間くさいロボットでしたね。
ちなみに当時TBSで放映していた人気ドラマに「七人の刑事」というのがありましたが、エイトマンは8番目の刑事という意味がこめられています。だからエイトマン。実際に警視庁捜査一課の刑事は7人で班を組み行動するそうです。
エイトマンは主題歌を歌った克己しげるが殺人事件を起こすなどいろいろあった漫画ですので、覚えている方も多いことでしょう。
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