裁判の法廷に登場する証人は警察や検察が事件の詳細を調べるため呼ぶのですが、その様子をテレビ放映は禁止されていますし、一般的には公開されないものです。(傍聴はできます)また警察の捜査自体は秘匿する必要があるのであまりおおっぴらにできないという事情もあります。
これに対し、国家の重大事件や国民の多くが知りたい事件が起こったときに、その事件の真相を握るとされる人を、国民の代表である国会議員が呼んでいろいろ質問し問題点を明らかにするのが証人喚問です。
事件の中には社会全体に大きな影響を及ぼすものもあり、国民の多くが「一刻も早く知りたい」と思っていることがあります。そんなときテレビで中継されている国会の場で証人に問いただし事実を明らかにする目的をもったものです。
証人喚問は、だれかを罰するために開かれるのではなく、国民の多くが「私たちの生活に大きな関係がある」と思っていることや、「こんなことがあってもいいのか」と思うようなこと、「この疑いをはっきりさせてほしい」と思うようなことを、国会としてはっきりさせようというものなのです。
したがって証人喚問に呼ばれた人が、必ずしも事件の容疑者というわけではないのですが、事件の真相を握るだけあって、その証言如何では証人喚問された人が翌日逮捕、とうこともありえます。
国会は、法律を作ったり、予算を決めたりする仕事のほかに、国民が知りたいことを調べる、という仕事もあるのです。そのために「証人喚問」という制度があります。
証人喚問は憲法第62条の〔議院の国政調査権〕として規定されており、その証言は議院証言法によって出頭の拒否や証言の拒否、虚偽の証言が禁止されています。
参考:
〔憲法第62条〕両議院は、各□国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
〔議院証言法〕国会での証人喚問の手続きなどを定めた法律。正当な理由なく、出頭や証言を拒否すれば一年以下の禁固または十万円以下の罰金、虚偽の証言をすれば偽証罪で三月以上十年以下の懲役となる。