今回の北朝鮮による日本人拉致事件は元よど号事件に関与した人間が絡んでいるのではないか?といわれています。そのよど号事件とは一体どういう事件だったのかを振り返ってみたいと思います。
よど号事件というのは1970年3月に起こった赤軍派によるハイジャック事件です。日本刀などで武装した赤軍派のメンバー9人が羽田発福岡行きの日航機「よど号」を占拠し、北朝鮮へ行くように要求したもの。
福岡で一部乗客を降ろし、要求どおりそのまま北朝鮮に向かったかのように見せかけ、じつは韓国の金浦空港に着陸しましたが、偽装を見破られ乗客と引き換えに当時の山村新治郎運輸政務次官(故人)が身代わりとなり北朝鮮に向かいました。
それから30年たった2000年、当時の実行犯のメンバーである田中義三容疑者(逮捕時51歳)がタイから身柄を引き渡され逮捕。本来なら時効ですが、海外に逃亡していた期間は計算されないという法律により時効が停止していたため逮捕できたもの。2002年2月に懲役12年の判決を受けています。
よど号メンバーのうちリーダー格の2人は既に死亡し、岡本容疑者も未確認ながらも死亡したとされます。当時最年少だったメンバーは日本に帰国し懲役5年の判決を受けて既に出所。残ったメンバーは4人いますが、いずれも平壌郊外に妻や子供と住んでいます。
それにしても32年と言う時間は長く、メンバーのほとんどが死亡あるいは既に初老となり、北朝鮮で家族を持っているなどと聞くと、元戦士たちもやはり我々と同じ人間だな、などと思ってしまいます。
彼らに流れる熱き血は一体何がしたかったのか?またそれを今はどう思うのか?是非当事者に聞いてみたいものです。おそらく本人達もよくわからないでやったのではという思いもあります。理想を夢見て学生運動が吹き荒れる、そういう時代でしたから。
この事件は国内初のハイジャック事件であり、日本刀を持ち込むなど今では考えられない事件でしたが、このときの教訓は今のハイジャック防止対策に生かされているのです。