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[644z]総論賛成各論反対

日本の政治は「総論賛成各論反対」とよくいわれます。総論賛成とは、例えば「ダムは自然破壊するから作るのはやめよう」という意見があれば、だれもが「そうだそうだ」と賛成します。

ところが、長野県知事が「この村のダム計画は金がかかり過ぎるし、ダムを作らなくてもほかに方法がありそうだから中止しましょう」というと、そのダムの建設に向けて動いてきた企業や議員は政治献金や裏金が動いている関係上、非常に困ることになるわけです。そこで「いやこのダムは必要だから中止してはいけない。中止するなら他のところにしたまえ」と口角泡を飛ばしてケシカランと反対します。

いってみればダム族といいましょうか、日本ではこういった公共事業にまつわる癒着が長年培われてきたのです。亡くなってしまった田中角栄氏は日本列島改造論を打ち出し総理大臣までなりましたが、彼こそ史上最大の族議員といえましょう。

今回の長野県知事に田中康夫氏が再選されたというのは、考えてみれば当たり前のことだと思います。県民はもうすでにこういった癒着を知っているのであり「ダムは場合によっては必要だが、ダム族議員は要らない」と判断しているのです。再選を阻止した県議会の連中は、県民が何を望んで田中氏を再選させたのかを真摯に考えなければならないでしょう。

以前、青島幸男氏が東京都知事になった時に、副都心計画を中止する宣言をしました。このときの状況は今回の長野県知事選に非常によく似ています。一旦動いた計画を中止するのは容易ではありません。色々な立場の人の意見を聞いていたら、もとより利害関係があるのですから賛成するわけありません。独善的といわれようとも、すっぱり切りすてる政治も必要なのです。

青島さんは中止する事だけでその役目は十分です。そして今回の田中康夫氏もダム族議員不要という証明をしたわけですからこれで十分です。あとは県民が考えるでしょう。

合議制は民主主義の基本ですが、時に優柔不断になるのも合議制。国を早く変えたいのなら独裁政治にかないません。そして今必要な構造改革にはこういった独裁政治も必要です。そういう意味で、一国の主である小泉さんも今回の長野県知事選には見習うべきところが多かったのではないでしょうか?

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