太古の昔、地球が温暖であった頃は生物は生長し隆盛を誇りました。しかし地軸が変化し、四季が生まれると寒い冬をどうにかして越さなければならなくなってきました。そこで生物は体の機能を低下させ、代謝を減らして寒い冬を乗り越えようとるする力が備わるようになります。
哺乳類、特に小さい哺乳類ほど冬眠をします。冬眠中のリスは、体を守るために色々な現象が現れるとのこと。たとえば冬眠中に体温が0℃近く低下しても体は正常に機能する。また細菌や放射線などのへの抵抗力の増加、腫瘍等が発生しにくくなること観察されています。冬眠する動物は冬眠しない動物に比べ死亡率が著しく低く、また寿命も長いことが確認されています。
秋になり気温が下がりだすとリスは食べ物をたくさん食べ体の中に特定の脂肪を貯めるようになります。そして気温の低下とともに体温を下げ、ついには気温と同じくらいにまで下げてしまう。
冬眠中の状態はいわゆる眠りではなく、臓器の活動はおろか脳活動も極めて抑えられています。当然活動はしていないので夢を見るようなことはありません。面白いのは、冬眠中のリスの血清を夏場活発なリスに注射すると、夏なのに冬眠状態になってしまうということです。冬眠中のリスの体の中には確かに冬眠物質があるとされていますが、その実態はよくわかっていません。実態が明らかになれば、人体に有効な冬眠物質が開発され、人間も冬眠できるようになるかもしれません。
植物から取れるモルヒネなどの麻酔作用のある物質は、動物の脳内でも生成されることがわかっています。この物質の類が冬眠に関係があるのではないかとされていますが、詳しいことはわかっていません。今後の研究が待たれるところです。
尚、クマなども冬眠するといわれますが、熊の場合は少し違います。リスは冬眠に入ると叩いても起きません(2週間ごとに覚醒あり)が、クマの冬眠は自発的に目覚めることができます。体温の低下も2、3℃位であり、真の意味での冬眠とは異なります。クマの場合は「冬ごもり」と言うのが正しいでしょう。
またヘビやカエルなどの変温動物は気温の低下によって受動的に休眠状態になるのであって、これも哺乳類の冬眠とは種類が違うものです。また、昆虫の幼虫などが冬越しする時には、体内の凍結物質を体外に出し氷点下でも凍らないようにして冬を越します。それぞれの生き物にそれぞれの知恵があるようです。