文化庁が平成24年度「国語に関する世論調査」を発表。そのなかの慣用句の誤用が面白い。
「役不足」については「本人の力量に対して役目が軽すぎる」と正しく理解している人は41.6%。「本人の力量に対して役目が重すぎること」と誤用しているのは51%。これを言うなら「役不足」ではなく「力不足」。
「噴飯(ふんぱん)もの」を「腹立たしく仕方ないこと」と間違って理解している人は49%。正しい意味の「おかしくてたまらないこと」と回答できたのは19.7%。噴飯の噴は噴き出すこと。「噴飯」の「噴」が憤りの「憤」なら怒ることでしょうけど。
慣用句で「激しく怒ること」を意味する「怒り心頭に発する」を正しく回答した人は全体の23.6%で「怒り心頭に達する」と誤用していた人はなんと67.1%。
「怒り心頭に発する」は怒りが心から発する、という意味ですが、字から想像すると、心からでた怒りが頭に達する、という連想から「いかりしんとうにたっする」と誤用されるに至ったということが容易に理解できます。
国語は時代と共に変わるので、いずれ「怒り心頭に達する」が正しいとする時代も来るのでしょうね。大体の意味は間違っていませんし。
で、ここで私が注目したいのは、この慣用句の読みなんです。
ネットを検索しても「正しくは[いかりしんとうにはっする]」となっているケースが圧倒的に多いのですが、私は「怒り心頭に発する」の「発する」は「はっする」ではなく「ほっする」と読むのが正しいと思うのです。
たしか、学校でそう習ったと思います。そしてこれは試験に出るぞ、と脅かされた記憶が…。50年くらい前の話ですが。
ネットというのは情報にあふれている様で、じつは引用、転載だらけ。しかも高齢者が知っているような情報は高齢者が書き込まないので、意外と知られていないことが多いのです。
ラジオを聴いていても正しい日本語を使っているはずのアナウンサーが一息つく「一段落」を「ひとだんらく」と平気で発音する時代です。
60歳以上の年配者、もしくはNHKのアナウンサーの方がいらしたら「はっする」か「ほっする」か、正しいところを教えてください。