ライブドア事件の中心人物・堀江貴文容疑者の弁護人は2月16日堀江前社長の保釈を東京地裁に請求しましたが、翌17日、地裁はこれを却下しました。保釈とはよく聞きますが一体どういう制度なのか、ちょっと考えてみたいと思います。
刑事事件の容疑者になりますと、取調べのため拘置所に勾留されることになります。勾留するということは本人の自由を奪うため、その実行に関しては慎重に行なわなければなりません。理由もなく勾留することは本人の人権問題にも発展します。その問題を回避するために存在するのが保釈という制度です。
保釈とは、勾留の効力を残しながらもその執行を中断し、被告人の身柄の拘束を解く制度です。裁判所は、被告人が証拠を隠滅したり、逃亡したりするおそれがない場合には保釈を認めなければなりません。
保釈の種類3種類有り、請求による保釈(権利保釈)、裁判所の職権による保釈(裁量保釈)、勾留による不当に長くなったときの保釈(義務的保釈)があります。
保釈の請求は、被告人本人のほか、配偶者や親などの近親者、もしくは弁護人から起こすことができます。しかし実際には、重大な犯罪を犯したとして起訴されている場合や逃亡の恐れや証拠を隠滅するおそれがある場合などは、保釈が認められない場合も少なくありません。今回の堀江被告の場合の保釈が認められなかったのは、本人に協力の意志がみられないことと、証拠隠滅のおそれが多分にあるからだと思われます。
なお、保釈には保釈金を納付することが条件となりますが、通常の一般人の刑事事件の場合の保釈金は200万円位とされます。これが重大な事件となりますと保証金としての意味合いがあるため多額になるのが普通です。
ちなみにロッキード事件の田中角栄の場合は2億円、鈴木宗男の場合は5000万だといわれています。仮に堀江被告の保釈が認められたときは、恐らく1億円くらいでしょうか。
保釈金は裁判前に開放するための保証金なので裁判が終るまで逃亡しなければ、保釈金は返金されます。ただし保釈中に逃亡や証拠隠滅など犯したときには保証担保となっているため、保釈金は没収されます。ということはやはり事件の重大さによって金額は大きくなるというのがうなずけます。
なお、世間では堀江被告を既に極悪人のように捉えていますが、まだ罪が決定したわけではありません。現時点での悪人呼ばわりはやめましょう。また、終わり悪ければすべて悪い、という日本独自の風潮も控えたいものです。良いところも悪いところもそれぞれを正当に評価すべきです。