ここのところアメリカの副大統領が注目を浴びています。
まず、地球温暖化問題を訴えた映画「不都合な真実」のキャンペーンで来日した前副大統領のアル・ゴア氏。アル・ゴア氏は第45代アメリカの副大統領として1993年1月20日から2001年1月20日の8年間就任。時の大統領はビル・クリントン氏。クリントン氏もアルゴア氏も民主党です。
その後、大統領に就任したのが現職のジョージ・W・ブッシュ氏。つい最近来日したディック・チェイニー氏は第46代副大統領となります。ブッシュ氏もチェイニー氏も共和党です。
アルゴア氏が来日したのは映画のキャンペーンもさることながら、次期大統領と噂されるヒラリー・クリントン氏(前大統領のビル・クリントンの奥さん)の応援をかねて民主党をアピールするためかもしれません。あるいはアル・ゴア氏本人も大統領の席を狙っているかもしれません。いずれにしても、ブッシュ政権の失墜で雲行きの怪しい共和党を打ち落とすための民主というの戦略であることには間違いないでしょう。
ちなみにアメリカの議会で二大勢力となるのが共和党と民主党。ブッシュ大統領率いる共和党は強硬な路線でいわばタカ派といえるでしょう。一方クリントン一家が率いる民主党は穏健なハト派の政党です。イラク戦争の失敗でアメリカの世論は民主党に傾いているようです。
さて、アメリカの副大統領というのは大統領の次に偉いかというとそうでもないのです。アメリカで一番偉いのはもちろん大統領。次に権力があるのが、現状ではライス国務長官です。そして次にくるのが辞めてしまいましたがラムズフェルド国防長官でしょう。チェイニー副大統領はその次当たりに位置する役職です。
副大統領というのは、大統領が職務に就けなくなったときに、すぐさま職務を代行する、ということに特化した役職です。偉いとか偉くないとか、そういう視点ではないのですね。
たとえば、副大統領は大統領と行動を共にしません。行動を共にしたら、もし大統領がテロに遭った時、副大統領もやられてしまいます。これでは大統領の代行はできません。大統領が暗殺された場合も、副大統領は間髪をいれずに大統領に昇進してその職務を遂行します。ケネディ大統領が暗殺されたとき、昇格したジョンソン大統領は時の副大統領でした。
大統領が手術のときに全身麻酔をしたらどうなるか?麻酔が効いている間は、自失状態ですから国家運営に携われません。このときは副大統領が臨時に大統領を代行するのです。実際にブッシュ大統領が検査で全身麻酔をしたときにチェイニー副大統領がその間2時間ほどですが臨時代行した実績があります。
アメリカでは大統領は国家運営をするものと位置づけ、副大統領は大統領が何らかの理由で国家運営ができなくなったときに代行するものと割り切った考えを持っているのです。